十徳ナイフで一番 “徳じゃないやつ” 決定トーナメント




 

皆さんは十徳ナイフというものをご存知だろうか。

野外生活やアウトドア活動などで役立つ様々なツールがコンパクトにまとめられて携帯できるマルチツールである。

 

例えばキャンプをする時、樹木を切断するのにノコギリが必要になる。そして釣った魚や用意した肉を捌くのにナイフが必要になるだろう。夜にワインが飲みたいならばコルク抜きだって欠かせない。

しかしそれら全てを荷物に含めるのか?他にテントや着替えもカバンに詰めなければならない。そんな時にこの十徳ナイフが一つあれば、万事解決というわけだ。

 

十徳ナイフは元々、19世紀末にスイスの国軍が装備の一つとして開発したもので、現在でも戦いに必要なツールが搭載されたものが軍隊で広く使われており、

キャンプやハイキングなどの場面を想定した一般向けの十徳ナイフもまた販売されている。

 

 

また、実際に使う場面はアウトドアに限らず、家の中での料理や掃除のちょっとした生活シーンでも重宝されている。

 

 

「十」個の「徳」「十徳」ナイフというネーミングもまた粋である。これぞまさに「便利」を絵に描いたようなツールだと言えるだろう。

 

 

そんな十徳ナイフ、

本当に10個も徳があるのだろうか?

 

『働きアリの法則』然り、どれほど良いツールが10個集まったとしても必ず2、3個はほとんど使う場面がないはずだ。

 

冒頭の画像をもう一度見て欲しい。

 

ナイフハサミ、彼らは十徳の中でもいわゆる花形だ。クラスで言えば野球部とサッカー部。

人の机に勝手に座るし、女の子を気軽に下の名前で呼ぶ連中だ。教室の空気は彼らを中心に構成される。

 

しかしそんな人気者の陰には…

 

パソコン研究部が確かに存在する。

皆さんは写真の器具の名前がスッと言えるだろうか。誰の卒業アルバムの寄せ書きにも現れずに、名前も忘れ去られながら、それでもあの時教室の隅でそっと息づく命が確かにあった。

この言わば、十徳にするためにかき集めた最後の二、三徳の存在を、我々は決して忘れてはならない。光り輝く”徳”たちのさらに奥、一番深い影の”徳”を可視化することで、きっと十徳ナイフは再び一つになれるのだ。

 

こうして我々は、十徳ナイフで「一番徳じゃない」やつを決めるトーナメントを行う運びとなった。

 

モデルケースとなる十徳は何か?

ひとえに十徳ナイフと言っても、最近では一つのセットの中に十を超えた種類のツールが搭載されていることが多い。

国内で販売中のあらゆる十徳ナイフを調査し、商品の垣根を超えて数えてみると、全部で「30」種類以上のツール(徳)が存在するようだ。

 

まずはこの中から、Amazonで売られている十徳ナイフの中で最も採用されている徳10個を選び出し、いわゆる【十徳ナイフのモデルケース】を作成する。

今回はその十徳の中から、一番徳じゃないツールを選出していく。

 

中には十徳を下回る「六徳」ナイフなるものもあるらしい。想定されるメインの使用シーンは食事のようだ。

 

倒したロボットタイプの敵が、修復して再度立ち向かってくる姿を彷彿とさせる。

 

そしてAmazonで販売されている「十徳ナイフ」442件の中から、それぞれで採用されている「徳」の集計が終了した。

 

今回は以上の十徳に競い合ってもらうのだが、残念ながらトーナメントの形式上この内「二徳」に涙を飲んでもらうことになった。

厳正なる抽選の結果、上記の十徳から「プラスドライバー」「爪ヤスリ」が除かれることとなる。そしてここに、トーナメントに参加する八つの徳が決定した。

 

トーナメント参加者

それでは、今回の 十徳ナイフで“一番徳じゃない”やつ決定トーナメントに参加する 徳たちを順番に紹介していこう。

 

“屋号が冠する大看板”

ナイフ』

 

“すぐ、そこにある凶器”

『ハサミ』

 

“命を刈り取る三日月”

『缶切り』

 

“魚の処刑道具”

『鱗取り』

 

“瓶ビールからの刺客”

『栓抜き』

 

“KING OF 殺傷力”

『ノコギリ』

 

“V字回復”

『ピンセット』

 

“死を呼ぶ螺旋構造”

『コルク抜き』

 

 

錚々たる面構えである。

早速開戦前に「魅せた」のがピンセットだ。まさに空母からの出撃が如く、他七徳の中で唯一の着脱式であり、その存在感を力強くアピールした。控え室の時点で、戦いは既に始まっているようである。

 

そしてエクセルでランダムに作成したトーナメント表がこちらだ。

 

 

何と言っても開戦前から「徳じゃなさそう」感が抜きん出ているコルク抜き・鱗取りの両名が、対極の位置でスタート。

ナイフやハサミといった「徳そのもの」もしっかりとブロックが分かれており、 実力者が着実に勝ち上がるトーナメントになると感じた。

 

それでは早速一回戦を開始しよう。

 

一回戦のルール

一回戦のルールは、それぞれのツール(各徳)の単体での、

Amazon・楽天市場・アスクルの検索結果数である。

 

Amazonは言わずもがな世界一のインターネット上・巨大ショッピングモールである。そして楽天市場は国内最大級のそれであり、アスクルは工具・医療・オフィス用具に特化した通販サイトだ。

つまりこれら3つの市場での販売数こそが、各ツールの需要を測る上での重要な指標となる。この検索結果数の少なさが、すなわち徳じゃなさに直結するわけだ。

 

というわけで今回はAmazon・楽天市場・アスクルでの検索結果数の合計がより少ないものが二回戦へと進む。

 

一回戦

まず注目の第一試合がこちら。

 

ハサミの人気度・徳の高さが浮き彫りになる結果だが、今回は徳の低いものを求めているためシンプルにお呼びでない。早くおウチに帰って、ママのセーターの値札でも切ってるがいい。

ということで、ベスト4に進出する一人目の勝者は「缶切り」だ。文字通り、

 

決戦の火蓋は缶切りによって切って落とされた。

 

 

 

続いて第二試合はこちら。

 

ここでもサッカー部のナイフが猛威を振るうが、残念。今は弱者が強者を討つ革命の時間

体育の授業ではなく、いわばプログラミングの授業である。こうしてコルク抜きが、颯爽と勝利を手にしベスト4へと駒を進めた。

 

 

 

続いて第三試合はこちら。

 

宅飲みで急に必要になることが多い陽気なイメージの栓抜きに対し、迎え撃つはとにかく魚の鱗を取るというシンプルにキモい特化型アイテム

当初の期待通り、鱗取りの機能がどこからも求められていないことが証明され、悠々とベスト4へ勝ち上がった。これは二回戦以降の徳のなさにも期待がかかる。

 

 

 

続いて第四試合はこちら。

 

利用シーンのスケールの大きさが真逆の2人によるスタイルウォーズが実現。十徳ナイフへの採用数も同数であり、ここにきてかなり拮抗した戦いが繰り広げられるも、日本の林業を支え続けたノコギリが徳の高さの底力を見せた。

すなわち徳の低さとしては、結果ピンセットが勝利を掴む。

 

 

 

これにて一回戦が全て終了。結果は以下のようになった。

 

 

 当初の想定通り、番狂わせなく順調に「徳じゃないやつ」が絞られていっている。

真の戦いはここからなのだろう。注目はコルク抜き。兄弟とも言うべき栓抜きの仇を討てるか。熾烈を極める二回戦が、いざ始まる。

 

勝ち進んだ四徳を待ち受ける、二回戦のルールは…