半沢直樹が、全部に倍返ししてたらどうなるのか




 

2020年8月時点、現在も大ヒット放送中のドラマ『半沢直樹』をご存知だろうか。

見たことがある人もそうでない人も、次のセリフはおそらく聞き覚えがあることだろう。

 

やられたらやり返す、倍返しだ。

 

第一期が放送された2013年、同年の流行語大賞にノミネートしたこのセリフは社会現象となり、上司を憎む鬱屈とした世のサラリーマンたちを席巻した。

各メディアがこのキラーワードを取り上げ、何の情報を読み取ればいいのか分からないグラフなども展開された。

 

出典:MarkeZine編集部(2013)引用元

 

このセリフは主人公である半沢直樹が、作中で理不尽な目にあった際に発する決め台詞である。

敵対する悪党どもに対し、半沢はこのセリフを号令として一気に反撃を開始する、痛快な逆転劇への始まりの合図だ。

 

 

現在放送中の第二期で、香川照之演じる大和田常務はこのように発言していた。

 

倍返しのセリフをもじった一言で話題になったシーンだが、ここで我々はふと考える。

半沢は、こういう倍返しはしているのか?

 

理不尽な悪行に対して反撃をするのは素晴らしいが、たとえば友人やパートナーから受ける日々の小さな親切に対して、ちゃんと小さな倍返しをしているだろうか。

 

妻にいってらっしゃいのキッスなんてされた日には、半沢も

「おいおいまったく…倍返しだ!」チュッチュッ!

など、ちゃんとしているだろうか。

 

そこが見て取れなければ、彼の主義主張は脆くも崩れ去ってしまう。つまるところ、倍返しをしたいときだけ倍返しをしていることになる。

この作品を楽しむ上で、半沢直樹への感情移入は必須である。すなわち、彼が主義主張をしっかり通している人間だと再確認できれば、一層この作品にのめり込むことができると考える。

 

 

今回はドラマ『半沢直樹』一期の一話を例にとって、作中で半沢が受けたすべての事柄をピックアップし、それらすべてに対して倍返しするどどうなるのかを調査する運びとなった。

 

心のつっかえを取って、半沢直樹でしっかりと盛り上がれることを目指して、本調査を進めていく。

 

 

調査開始

まずは、ドラマ『半沢直樹』一期一話のなかで、半沢が受けたすべての事柄をピックアップする。

 

こうして見ると色々なことをされている半沢。理不尽な扱い以上に、人の温かみにも触れているようだ

状況を分かりやすくするため、各やられたことに対して、それが「善」か、「悪」か、はたまたどちらでもない「並」なのかを記していく。

 

たとえば、未完成の稟議書を勝手に提出した浅野支店長の行動は「悪」であるし、剣道の打ち合い相手になってくれる近藤の行動は「善」である。

 

 

そして、結果はこのようになった。

 

蓋を開けてみれば、半沢も基本的には良いことをされているわけだ。

そしてこれらの倍返しアクションもまとめていく。

 

こうして、すべてに倍返しをする半沢直樹の一期一話の全行動が出揃った。

これにより話の盛り上がりの仕方も多少なり変わってくることになる。ここからは作中で、本当に倍返しをする半沢直樹における、盛り上がりシーンベスト3を、ランキング形式でご紹介したい。

 

 

注目シーン ベスト3

妻との議論も倍返しで勝利

 

〜該当シーン抜粋〜

剣道の打ち合いで近藤をボコボコにして帰宅した半沢。

その夜帰宅すると、妻の花から浅野支店長の奥さんへのプレゼントに何が適切かを相談される。しかし半沢は、すでに自分自身の手で支店長の奥さまへプレゼントを渡し終えていた。

先回りして花の課題を解決した半沢に対し、花は一戸建てに住みたいと別の希望をぶつける。何やら同期の近藤と比較し、半沢にも同じことを求めたいと言うのだ。

それを受けて半沢は、逆に妻に対して、庭付き一戸建てを自分の財力で購入しろと言い渡す。かつて自分が抱いた過去の女であれば、そのようにしていたと激しく主張した。

花は言い返せず、半沢は夕飯を食べ続けた。

 

すべてにおいて倍返しをおこなうとこうなる。こうであってこそ、半沢直樹である。

パートナーに言い負かされている世の力なき旦那さん方、この半沢の勇姿を見ると力が湧いてこないだろうか。

 

このあと出向を告げられる近藤に対し、この時点で完膚なきまでに叩き潰しておくという点も見事な先回り力である。

夫婦喧嘩も、倍返しである。

 

 

注目シーン ベスト2

竹下社長を腕っぷしで仲間に

 

〜該当シーン抜粋〜

頭取に対し、本件のすべての責任は大和田常務にあると上申した半沢。

浅野支店長にも責任を被ってほしいと泣いて詫びた後、スッと居直り、彼に対して無様だと唾を吐き捨てた。

ジェットコースターのような感情の変化を見せた半沢は、翌日、同じく東田の倒産劇に被害を受けた竹下社長の元へ向かう。

工場で自殺しようとしていた竹下を気絶させた半沢は、アホンダラと言って投げ飛ばす竹下に対し、ボケカス死ねやと言い放ち蹴り飛ばした。

彼の名刺を奪い取り、半沢は竹下金属を後にする。

 

男が男を仲間にするのに、言葉は要らない。

まるでルフィのような仲間の作り方をする半沢に、竹下も惹かれていくシーンである。

 

浅野支店長がすべての責任を半沢にあると大和田常務に上申するやいなや、頭取に大和田常務の責任を報告する抜け目なさも素晴らしい。

責任の所在も、倍返しである。

 

 

注目シーン ベスト1

決戦!VS東田の死闘

 

〜該当シーン抜粋〜

東田の所在を追う半沢は、彼の元部下、波野の元にたどり着く。

帳簿を渡す波野に対し、半沢も負けじと社外秘の決算資料を渡す。そして東田の所在に関し白を切る波野に、半沢もまったく目を合わせようとしない。

ついに発作を起こした波野に対し、半沢もより症状の激しい発作で対抗する。

そしてガラスをぶち破り、東田の元へやってきた半沢は、ゴルフクラブで殴りかかる東田に対し、スタンガンを連発して対抗。

世界のことわざについて教えてあげていると、後ろから東田の愛人、未樹に殴られる。

しかし半沢は体制を整え、未樹の顔面に蹴りを入れるのだった。

 

とうとうヤングマガジンみたいな作風になってきた半沢直樹。

ついに相対した東田に対し、まったく引けを取らない戦闘力を見せる。剣道の修練を続ける半沢は、武闘派でもあるのだ。

 

自身に刃を向ける者に対しては、女子供だろうと容赦しない。愛人の未樹も蹴り飛ばす勢いだ。

地味に、自在に発作を起こせるところも特筆すべきポイントだ。

肉弾戦も、倍返しである。

 

 

総括

いかがだっただろうか。

良し悪しは別として、以前よりもぐっと半沢の人となりが色濃く出た結果となったことだろう。

 

そんな半沢直樹は2020年8月現在、TBSテレビにて絶賛放送中だ。

半沢は次はどんな倍返しを繰り出すのか、ぜひ刮目してご覧いただきたい。