マイケルジャクソンの前傾になるやつ、気合いさえあればできるのか




 

人類史上最も成功したエンターティナーとしてギネスにも認定されたアメリカのシンガーソングライター、マイケル・ジャクソンは史上最も売れた音楽家の一人でもある。

全世界で5億枚の売上、全13回のグラミー賞受賞など、彼は人種や国境を超えて多くの人々を魅了してきた。

 

そんな彼の魅力の一つに、曲の演奏中に繰り出すダンスパフォーマンスがある。特に、宇宙飛行士が月面を歩くように後ろに滑る「ムーンウォーク」は有名だ。

そしてもう一つ、まるで重力に逆らうように体を地面に向かって傾け、そしてまた元の状態に戻す「ゼロ・グラビティ」も、彼の有名なダンスパフォーマンスである。

 


(出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ゼロ・グラヴィティ)

こちらは両手両足を揃えた起立の状態から、踵を地面から離さずに体を傾ける動きである。

一見マイケルがとんでもない奇跡的な動きを繰り出しているようにも見えるが、このパフォーマンスには仕掛けがある。

 

実はこれ、履いている靴の踵にV字型の金属のパーツを装着しており、床から出たT字型のフックにそれを引っ掛けることで体を固定しているのだ。

ライブパフォーマンス中はゼロ・グラビティを終えた後、即座に床のフックがステージ上から引っ込むシステムになっている。

 

もちろん上記の装置があった上で、それでも直立姿勢に戻るには強靭な体幹と筋力が必要なことは言うまでもない。

 

しかし、ムーンウォークこそ修練を重ねてマイケルの動きに近づける可能性があるものの、

ゼロ・グラビティはそもそもこの仕掛けを用意しないと再現性もゼロなわけである。

 

このゼロ・グラビティ、特殊な靴と床がなくても気合いさえあれば再現できないだろうか?

 

マイケルの総合的なダンス・パフォーマンス能力において、ゼロ・グラビティはあくまでその一つに過ぎない。

もしも我々がゼロ・グラビティ1本に集中し、全ての恐怖をかなぐり捨てて臨むとしたら、少しだけゼロ・グラビティらしいものに近づけるのではないか。

 

ということで今回は「マイケルジャクソンの前傾になるやつ、気合いさえあればできるのか」を検証する運びとなった。

等身大の我々が臨むこの企画を通して、改めてマイケルというスターの偉大さを感じようではないか。

 

検証方法

今回は次の人物に検証に参加してもらう。

 

ごどう…当サイトの企画スタッフ。舞台人を志すものとしてマイケルに憧れない日はなかった。

ぴろぴろ…当サイトの管理人。マイケルについては、ムーンウォークよりも終わった後にひらがなの「ゆ」みたいになるところが好き。

 

今回は何の装備も持たないごどうにひたすらゼロ・グラビティに挑戦してもらう。

 

そして、踵を地面につけたまま地面から45度の高さまで身体を傾け静止し、再び元の位置まで身体を戻せた場合のみ成功とみなし、

それ以外は体力の限界まで検証を続行するという流れだ。

 

それでは早速見ていこう。

 

検証開始

ぴろぴろ
ごどうさん本日はよろしくお願いします。

ごどう
何か嫌な予感するよ。天気も悪いし。

 

ぴろぴろ
今日はマイケル・ジャクソンのあの前傾姿勢になるやつに気合いだけで挑戦していただきます。

ごどう
え?あの地面すれすれになるやつ?

あれは無理だよ。マイケル・ジャクソンの身体能力がないと無理だからね。

あと、床と靴に仕掛けがあるんだよあれは。俺知ってるんだけど。

ぴろぴろ
はい、今回はその仕掛けも無しでやっていただきます。

ごどう
じゃあ何にもないじゃん、俺には

 

ぴろぴろ
マイケル・ジャクソンの場合は『スムーズ・クリミナル』という曲中のパフォーマンスの一環であれをやっています。失敗が許されないんです。

他にも歌ったり踊ったり色々やらないといけないので。

ごどう
え?これ一本に集中すればいけるって考えてる?

ぴろぴろ
ごどうさんは歌っても踊っても働いてもないじゃないですか。

 

ごどう
コラッ!!

ぴろぴろ
まずは量をこなしましょう。課題が見えてくるはずです。それでは準備ができたら教えてください。

ごどう
あれ量こなしていいんかな・・。

腱とかが千切れるのでは。

 

ごどう
一旦本場のやつを確認しておくか。

なるほど、ゼロ・グラヴィティって言うのねこれ。

 

中高時代に柔道という厳しい競技を経験してきた彼にとって、ゼロ・グラビティを実現するのに必要な身体のしなやかさ、筋力は十分にあるはずだ。

成功に必要な最後のピース、それはメンタル。

 

ごどう
できるわけないだろこんなの。

 

気合いだけのゼロ・グラビティ、いよいよスタート。

 

 

ぴろぴろ
では行ってみましょう。

ごどう
よし、さっさと決めるぞ。

ぴろぴろ
お、自信が出てきましたね。

 

ごどう
こんなもん体力があるうちにやっちまわないと無理だろ。関節と腱がキレイな内に。

ぴろぴろ
なるほど。それでは早速お願いします!

ごどう
いくぞ。

 

ごどう
ンッ…..。

ぴろぴろ
おぉ。

ごどう
んん…..くっ……………….。

 

 

ズザァっ

ぴろぴろ
危ない!!

ごどう
ウォッ!!あぶっ…

危ないだろそりゃ。この実験自体がよ。

ぴろぴろ
マックスに前傾になったところを撮りましたが……まだまだですね…

 

ぴろぴろ
ただ勃◯我慢してる人です

ごどう
なんてこと言うんだよ。

ぴろぴろ
マイケルもこんな中学生男子みたいなポーズにはならないので、もう少し頑張っていただきたいです。

ごどう
あの頃の俺がいるな。

 

ザッ

ぴろぴろ
腰がへっぴり過ぎですね。

ごどう
待て待て、感覚を掴んでる最中だから。

 

ズゾッ

ぴろぴろ
マイケル、ズゾッって音出さないです。

ごどう
うるせぇなぁ。

マイケルも練習の時は出してるよ。

 

ごどう
ちょっと一回前傾しきった状態のイメージを覚えないと。やっぱいきなり本番は無理だ。

 

ぴろぴろ
なるほど。まずは補助ありで、完成形を身体に覚えさせるんですね。

 

ごどう
よし、こうだな。

 

 

ぴろぴろ
それでは気を取り直して、参りましょう。

 

ごどう
うし、いくぞ。次は目の前に岩がないから恐怖心はないぞ。

ぴろぴろ
心置きなく突っ込めますね。

 

ごどう
ンン、ンンッ…..。

ぴろぴろ
また中学生してませんか…?

ごどう
してねぇ!見てろよ…!

 

ザァァ

ごどう
ラァァっし…!

ぴろぴろ
惜しい!

 

ぴろぴろ
30度くらいまでは、身体もまっすぐに出来ていたと思います。

マイケルが見えてきましたよ!

ごどう
土しか見えねえよ….

 

 

ごどう
そろそろスパッと決めたいな、これ長期戦には不向きのやつだ。

ぴろぴろ
45度くらいまで行けば、それなりに格好がつくと思います

 

ぴろぴろ
舐めたお辞儀みたいなのやめてください。

ごどう
間合いを測ってんだよ…いくぞ…!

 

ジャッ

ごどう
んにょっ。クソっ。

ぴろぴろ
そのバヨンバヨンってしなる瞬間あるじゃないですか。

それ何ですか?

ごどう
分かんない。自動的になるのよこれ。

自分でも怖いよちょっと。

 

ぴろぴろ
そればっかり様になってきますね。

ごどう
ここまでは持っていきたいよなあ…。イメトレは完璧なんだよな。

 

その後もごどうの挑戦は続くが・・

 

 

ごどう
あぁんっ!!

 

ぴろぴろ
悪くないです。ただ手が出ちゃってるんで、ヤバくなっても両手を腰から離さないように。

ごどう
大怪我を、するよ?

 

 

ごどう
おとっとっとっ!

ぴろぴろ
真っ直ぐにはなってきてますね。

 

 

ごどう
サバンッ….

 

ぴろぴろ
衝撃をうまく腰に逃しましたね。

ごどう
おかげで腰がやられた。

 

ごどう
この年で公園で土まみれになるとは…

 

80kg近い体重を何度も地面に打ち付けるごどう。両手両膝、そして腰までも、疲労と激痛が彼を襲う。

やはりゼロ・グラビティは、気合いだけでは無理なのだろうか。

 

 

ぴろぴろ
ごどうさん、時間も時間なんでラストにしましょう。

ごどう
そうか、ようやく終われるんだな。

ぴろぴろ
もしかしたら、後があると考えずに、この1回で決めなければ終わりという気持ちが功を奏するかもしれません。

ごどう
なるほど…。

 

ごどう
まぁ確かに、この1回に全てを賭けるか。

 

ごどう
よし…..。見えてきた。決めるぞ。

ぴろぴろ
いい目をしています。

 

ごどう
うぅんっ…….。

ぴろぴろ
頑張ってください。

 

ごどう
ンンっ……ンンン………。

ぴろぴろ
そのまま、そのまま。

 

ザズスッ

ごどう
んもうっっ!!

ぴろぴろ
お疲れ様でした。

 

ごどう
だめだ。最初から特に何も進歩しなかった。体だけ負傷した。

ぴろぴろ
これ以上は無理そうですかね。

ごどう
無理だと思う。俺も何にもならなくてごめん。

ただ、お前の方が悪いとは思う。

 

ということで検証の結果、マイケル・ジャクソンのゼロ・グラビティは、

気合いだけで実現することは不可能だった。

 

総括

いかがだっただろうか。

本企画を通じて、とにかくマイケル・ジャクソンの偉大さが骨身に染みた我々であった。

 

みなさまもゼロ・グラビティに挑戦する際にはぜひ、専用の装置をご活用ください。