タバコを吸いながら作った料理、海原雄山のように見破れるのか




四品目

桐生
何やってんすかね俺は。

 

桐生
俺、たぶん企画開始前よりちょっと燻製化してますよ。

四品目で吸うタバコはいよいよパイプに。喫煙の大人度合いをグッと上げた今回、結果はいかに。

 

そして四品目の料理は。まずは切った白菜を投入。

 

桐生
俺明日から、普通に今まで通り料理できるのかな。

 

鍋の調理には待ち時間も存在する。そんなとき、桐生は手にひとつまみの塩を振りかける。

 

桐生
ぺろり。

 

桐生
これはたまんねえわ。

喫煙以外のレベルも大分上がってしまったようだ。

 

ごどう
そろそろメインディッシュだよな〜楽しみだなぁ。

 

桐生
よし、鍋の様子もいい感じです。

 

桐生の鍋が、煮立った。

蓋を開けた瞬間にキッチンから立ち昇る煙は、鍋によるものか。はたまた。

 

桐生
お待たせしました。

ごどう
その格好で来られるとなんか、良い男に飯まで用意してもらってる気分というか…

 

ごどう
この後抱かれるんかな…

桐生
こちらが四品目となります。

 

ごどう
むむっ!これは。

 

四品目。鍋の具材はシンプルに白菜と鶏肉だけ。彼が全幅の信頼を寄せる2品だ。

 

ごどう
良い香りだ。具材はシンプルだが…はむっ。

 

ごどう
ほふっほふ……むっ!これは。

 

ごどう
これは!…ふはっほふっ…いやあこれは…

 

ごどう
素晴らしいよ君は。これが、これこそが「鍋」だよ

 

ごどう
こんなシンプルな鍋の具でここまで繊細な味が出せるのは評価したい。鍋はおよそ足し算としての魅力に溢れたものだが、まさかの引き算の論理だ。ごま油も良く効いていて…

桐生
(良い加減気づいてくれ…)

 

態度だけは海原雄山顔負けだが、舌の程度は富井副部長レベルのごどう。

後が無い我々は、最後の五品目にすべてを賭けることにした。

 

 

五品目

桐生
スーーッ。

 

桐生
フーーーッ。もう、料理で出たらヤバい量の煙が出てます。

 

ラスト五品目、なんとかごどうに気づかせるため、我々はシーシャ(水タバコ)を解放する

 

五品目の料理に関しては、先程の鍋に生米を加えて炊き、締めの雑炊を作っていく

 

その料理と同じくらい場所を取るのが、シーシャの難点である。

 

桐生
もし僕が、海原雄山だったとして。

厨房で料理人がこれやってたら、

 

桐生
美食倶楽部は、解体すると思います。

 

桐生
フーーーッ。これ火災報知器大丈夫か。

 

ついに五品目の完成だ。

桐生
鍋はほぼ煮込んでる時間なんで、基本ずっとシーシャでしたね。

ストレスで行くとこまで行った良三だと思ってください。

 

ガチャ。

 

桐生
お待たせしました。

 

桐生
締めの鍋炊き雑炊です。

ごどう
お、ついに締めか〜。さっきの鍋の出汁で雑炊とは最高だね。

 

ごどう
うわっ、片手で大丈夫?重くない?

 

桐生
フーーーー大丈夫です。

 

ごどう
片手で…左手には、何だ…??

 

桐生
お待たせしました。こちらになりまフーッ。

ごどう
え、夢?パプリカみたいな、夢見てる?これ。

 

ズズズ。

 

桐生
ブフーーーーッ。

 

ごどう
ン”ン”ッ

 

桐生
どうされましたか。冷めないうちに。

 

ごどう
冷めないうちにじゃねぇよ!

 

ごどう
料理持ってくるときに!シーシャ吸ってんじゃねえ!

 

ごどう
点滴みたいにシーシャ持ち歩くんじゃねえ!

桐生
ようやくですね。お疲れ様でした。

ごどう
何がだよ。

 

結果、ごどうは五品目のシーシャにてタバコに初めて注意をした。

 

 

企画説明

ごどう
そういう企画だったのかよ。良三がシーシャ吸うわけねえだろ。

桐生
ごどうさんが気づかないので喫煙レベルを上げていったんですよ。良三も、緊張しがちだったんで、あり得るんじゃないですか。

ごどう
厨房でシーシャ吸える時点で、緊張するタマじゃねえよ。

 

桐生
そういえば雑炊まだ食べてないですね。せっかく作ったんで、ぜひ。

ごどう
ぜひっつったって、これも煙まみれで作ったんだろ?

 

ごどう
そんな前情報入れられたら、俺だってそりゃあ、

 

ごどう
繊細な味の変化くらい…

 

ごどう
うんまぁ!

 

結論、一般人は前情報を聞いても何も分からない。

 

 

総括

いかがだっただろうか。

実際に調理の現場を見ない限り、やはり口にしただけで料理人がタバコを吸っていることを見抜くのは至難の技であった。

 

我々が日々いかに漫然と食に触れているか、見つめ直す良い機会になっただろう。

それは幸せでもあり、危険なことでもあるのだ。

 

もしもこれから先、我々にも生きていく上であらいの風味がどうやらヤニ臭い、違和感を感じるという場面が来るかもしれない。

そんなときは気をつけて欲しい。我々の実力では、そんなときはもう既に、

 

厨房でシーシャが大煙を上げているのだ。