『爆笑レッドカーペット』や『あらびき団』などの番組を覚えているだろうか。
ここ最近でもテレビのネタ番組は増えてきているが、当時は今と違ってショートコントや一発芸、リズムネタなど、30秒〜1分程度の短いネタが中心に披露されていた。
そんないわゆる“ショートネタ”ブームを先頭で牽引し、現在も幅広い分野で活躍しているお笑いコンビとして、「クールポコ。」をご存知の方は多いだろう。
彼らは基本的に杵と臼を持って舞台上に現れ、返し手(餅の位置を整える人)であるせんちゃん氏が、つき手(餅をつく人)である小野まじめ氏に「モテようとして〇〇している男がいた」と報告する。
それを受けて、小野まじめ氏が「男は黙って」の掛け声と共に、男性としての理想の行動を提唱するというネタのスタイルである。
いわゆる“モテたい”という欲求を軟弱であると廃し、代わりに真の男たるや、と無骨なアクションを提案する。これを餅つきのムーブと併せておこない、ある程度モチが柔らかくなったところで終了する。
ここで言われる「男は黙って」の男とは、粗野で無骨で不器用だけれども、どこか芯の通った存在であることを指す表現なのだろう。
ジェンダーやダイバーシティについての議論が活発化する昨今、旧来の男性像というものに固執する意味はもちろんないのだが、先人たちが尊んだ理想の男の概念を、今一度見つめ直すことには意味があると考える。
今回はクールポコ。の提示する「理想の男の条件」、つまり『男は黙って〜』の後の行動のみで1日を過ごしてみることにした。
現代では忘れ去られつつある「男たるもの」という生き様。それを長年我々に問いかけ続けたクールポコ。その提言を1日を通して体現することによって、彼らのネタへのアンサーとしたい。
その先に何があるのか。泥臭くともそのきっかけを少しでも掴むことで、自身の生き方に迷っている世の男性たちの光となりたい。
理想の男の条件を収集
クールポコ。の1ネタの中の「理想の男像」は3〜4個に限られているため、今回はクールポコ。のあらゆるネタをチェックし、1日における様々な局面での「理想の男の条件」を記録する。
2007年に発売されたDVD『THE 男』はもちろんのこと、
YouTube等に上がっている公式動画も含め彼らの「男は黙って」のネタ動画を全て視聴し、集計シートにまとめていく。
①はネタ中に返し手により報告される「モテようとする男の行動」であり、②はそれに対してつき手が提唱する「男のあるべき姿」である。
これら2つの組み合わせを一つのレコードとして記録する。
また各レコードに対して「カテゴリ」と「実現可能かどうか」を設定し、1日の生活の中に組み込んでいく参考とする。
例えば「モテようとしてジャニーズに入る男がいた」→「男は黙って、北島ファミリー」などは実現不可能と判断して進めた。
そして、最終的に54個のレコードが集まった。
今回はこの集計シートを元に「理想の男の条件」だけで固めた1日のスケジュールを構成し、
実際に当サイトの企画スタッフであるごどうにこの1日を過ごしてもらうことになった。
ごどう…このサイトの企画スタッフ。普段よりモテようとする気概は一切なく、常に等身大で飾らない性格のため、今回の条件で1日を過ごすには最適である。
それでは、早速 “男”ごどう の1日を見てみよう。
理想の男の1日を開始
AM 8:13 自宅
我々は朝早くからごどうの部屋に入り、撮影を開始した。一日の始まりはもちろん起床からである。
そしてクールポコ。によると、ここでも早速“男の真価”が問われるのだ。
目覚ましがイケてる音楽だと、ベッドを共にする相手からも好感触ではないか。それこそ髭男やKing Gnuで目覚めたいと思うものだが、そのような考えは軟弱である。
男は黙って、
自力
男は黙って、
自力
田舎に移住した人間の目覚ましがニワトリの鳴き声になったなんて話を聞くが、それにも勝るのが「自力」である。何かに起こされるのではなく、自分で起きる幸福感に勝るものはない。
ごどうはこの瞬間、男として最高の1日のスタートを切った。
どうやら予定よりも1時間ほど早く起きてしまったようだが、早起きは三文の得というもの。真の男は、朝の時間の使い方も有意義だ。
AM 8:20
男の朝は洗面台から始まる。髭男で起きることは叶わなかったが、しっかり髭の男にはなっているので、洗顔や髭剃りなど身だしなみを整えることが必要だ。
おもむろに洗面台へ向かうごどう。
鏡の前の自分を見つめる。
男性も美容を意識する時代。それ自体は素晴らしいことだ。しかし考えもなくその潮流に迎合することこそ、クールポコ。のお二人は軟弱だと提唱しているのだ。
男は黙って、
あら塩。
男は黙って、
あら塩。
理想の男を地で行ける喜びに打ち震えるごどう。
思わず雄叫びをあげてしまうのも無理はないだろう。彼が羨ましくなる瞬間である。
AM 9:00 朝食
朝食の時間だ。
ここでも真の男の食事はふるいに掛けられる。
朝食にサッと小洒落た一皿を用意できると、女性からのモテは必至だろう。しかし朝飯から横文字を入れに来る姿勢、それこそが軟弱なのである。
男は黙って、
もろきゅう。
おしゃれなシーザーサラダなど言語道断。男はシンプルにもろきゅうで十分だ。
AM 10:30
朝も早かったため、まだ眠気が残っているごどう。
このままダラダラしてしまうのは男として良くない。
こいつはまだプリキュア見てきゅうり食っただけなのだ。ここからカンフル剤を打って次の行動につなげたい。
男の20代後半は健康の曲がり角。ごどうもお金をかけて身体を整える必要に迫られてくる年齢だが、それをカプセルや錠剤でどうこうするのは軟弱というもの。
男は黙って、
煮干し。
カルシウムとDHAの直食いスタイル。男の栄養補給はこれに限るのだ。
しっかり目覚めた頭で今日の予定を整理するごどう。
今日は彼女とデートだ。ひとまず、彼女に待ち合わせの予定について電話をしよう。
男は黙って、
鳥羽一郎。
待ち合わせ場所が決まり、早速出かける用意を始める。
デートに着ていく一張羅は何より大切だ。いくら付き合って長いといえども、恋人とのデートの日は「その日にもう一度好きになってもらう」くらいの気概で臨むべきである。
男は黙って、
お下がり。
男は黙って、
腹時計。
男は黙って、
唾。
身支度を終え、颯爽と家を後にするごどう。
男は黙って、
南京錠。
これぞ言葉通り「ロック」というものだ。男の生き様ここにあり、と言わんばかりの玄関である。
そして目的地に向かう際の移動手段でも、“男” が光る。
男は黙って、
人力車
男の筋肉が軋む音で走り出す、まさに男の乗り物「人力車」だ。これにはごどうも男らしさで答えねばなるまい。
男は黙って、
勘
ごどうは人力車に乗り、そして勘頼みで颯爽と目的地へと向かった。
PM 12:50 目的地に到着
人力車の馬力をフルで生かし、一足先に目的地に到着したごどう。余裕を持った行動で彼女よりも早めに待っているのは、男の鑑(かがみ)だ。
待っている時間もデートのうち。ごどうは彼女との今までの思い出を反芻し、この幸せな時間に浸る。
男は黙って、
男は黙って、
PM 13:00 カラオケ
まずは二人の大好きなカラオケへ。数曲歌い終わったところで、お昼ご飯の頃合いに。
このサプライズのために持ち込み可のカラオケ店をわざわざ選んだごどう。男の真価は、サプライズの出来で決まると言っても過言ではない。
男は黙って、
ごどうのひじきに舌鼓を打つ二人。美味しいご飯の前だと、会話も弾むものだ。
PM 19:00 彼女の家
そのまま外を周りつつ、今日は彼女の家へ。
本来であればお洒落なレストランでも予約しておくものだが、ここは“男”を磨く方を優先する。
会話がひと段落して、ふと訪れたタイミング。ここでごどうは今日イチの男らしさを見せつける。
今日という日の最後の総仕上げに、“男”ごどうが打って出る。
1日終了
結果
良いじゃんねイカリング。渡し方も『ALWAYS三丁目の夕日』みたいで、良かったと思うんだけどね。
「今日ごどうが口にしたもの」
もろきゅう・にぼし・ひじき・握り飯・イカリング
クールポコ。の理想の男の条件で過ごす1日は、
めちゃめちゃ腹が減ることが調査結果として分かった。
総括
いかがだっただろうか。
クールポコ。の提唱する男の条件にのっとり一日を過ごすことで、“男”として目指すべき本質的な姿が浮かび上がったのではないか。
価値観の多様化が広がる中で、これぞと言うべき男性像の指針は今やなくなった。それでも、生き方に迷い、道筋を示してほしいと願う男性のみなさんには、ぜひこの記事を参考にしてほしい。
そして今回の結果を踏まえ、クールポコ。の理想の男の条件のみで1日を生活すると、次のような掛け合いになることがわかった。
ペアリングをプレゼントしている男がいたんですよ〜
完