空気が読めない人




3.空気読みタイプ診断

ということで、空気の読み方に関する診断を作ってみました。

すぐ終わるのでとりあえずやってみてください。あと、回答に際しては、「現在、主に所属しているコミュニティにおいて、どうであるか」という前提でお答えください。

あなたの空気の読み方タイプを診断します

この診断においては、その人の空気の読み方が嫌われるやつかどうかを見分ける上で

・空気を読む能力があるか

・そのうえで空気を読んだ言動をしようとするか

・空気を読んだうえで適切な言動をする能力があるか

あたりが重要な要因になりそうだと考えて、以下の6つのタイプに分かれるように作成しました。

①カリスマ

②仙人

③人気者

④お局様/ガキ大将

⑤凡人

⑥イタいやつ

以下、タイプ別の解説です。※本診断結果は「現在、主に所属しているコミュニティにおけるポジション」に関するものですので、参考程度のものであるとご了承ください。

①カリスマタイプ

カリスマタイプはその場の空気を察知する能力と、更にそれを自らコントロールする能力に長けていて、自分の意のままに空気を操ることができます。「誰に」「どのタイミングで」「どのトーンで」「どのチャネルから」というコミュニケーションプランを瞬時に策定する高い処理能力があり、人生経験の中で「こういう時に人はどういう風な反応をするのか」をよく洞察してきた人です。また、そうした処理能力や洞察力に加えて、適切なアウトプットスキルを併せ持つことで、意のままに空気を操ります。

一言で「カリスマ性」と言うと、その原義からも先天的に生まれ持った神性のようなイメージがありますが、本診断においては「処理能力」「洞察力」「伝える力」といった「空気を扱うスキル(便宜上『空気スキル』とします)」を高い水準で持った人物であり、尚且そうした人物が自らの意志を空気にフィードバックしようという意志を持って行使するケースを「カリスマ」と定義します。

ただ、こうした人物においては、そのどれか一つの要素が欠けてしまった場合、一気にヘイトを向けられる存在に転落してしまう可能性を孕んでいます。また、環境における向き不向きも存在しますので、環境を問わずカリスマであり続けることができるような「本物のカリスマ」は稀なのではないかと思います。

そうして、十分に空気スキルを発揮できなくなった人は「お局様/ガキ大将」や「イタいやつ」に転落していくことになりますし、このタイプと診断された方においては「自分がこのままのポジションでいられるとは思わないこと」を肝に銘じておかれるのが賢明かと思います。

例えば「現在の環境において最年長者である場合」とかだと、この診断結果になりやすいと思うのですが、それは「下手に権力のあるジジイ」になっている可能性も大いにあって、定年後にシルバー人材センターにいけば警備員の仕事を紹介され、現場で偉そうにしてたら「過去の栄光にすがるイタいジジイ」としか扱われません。

恐らく現実社会においては、このように環境との馴染みや集団への加入のタイミングが良かったためにカリスマで居続けることができるだけというケースがほとんどなので、たまたま発生したカリスマ性の上に胡坐をかかずに一層「なぜ自分はこのポジションにいることができるのか」を理解した上で立ち回ることが重要だと思います。

また、このタイプと診断されたにも関わらず、現在主に所属しているコミュニティにおいて主導的なポジションではなかったり、そもそも実生活において主導的なポジションにいたことが無いという方は「⑥イタいやつ」をご参照ください。

②仙人タイプ

仙人タイプは「ただそこにいるだけで場の空気が変わる」という感じの人です。基本的なスキルセットはカリスマタイプと同水準ですが、大きく異なるのは場の空気に干渉しようとする欲求や意欲の有無です。

会議において積極的に発言はしないけど、たまに口を開いたら割とクリティカルなことを言って場を納めてくれたりする人がこのタイプに当てはまり、「最終的に場がうまく収まるんならそれでいい」という観点から自らその場を支配しようとはしません。

自ら何かを主導するような動きを表立って行わないので、カリスマほど敵を作らずに事を成すことができますが、集団においてはハイスキルであるが故に「便利な人」として扱われることが多く、面倒ごとを押し付けられがちです。

そうした実績を重ねることによって「なんかよくわからんけどちょっと偉いポジションにいる気さくなおじさん」が誕生しますし、それはある意味サラリーマンにおける究極形の一つだとは思いますが、所謂「飼い殺し」になってしまっているケースも多く、ポジションが上がるにつれてそのハイスキルっぷりを発揮する機会も減って、若手からは「ロクに仕事もしないジジイ」と蔑まれ、現場に出ない間にスキルも陳腐化した結果、名実ともに「なんかよくわからんけどちょっと偉いポジションにいる気さくなおじさん」になります。

そうならないためには、適度に自己主張をして所属集団に対する貢献のために動いてるアピールは必要だと思いますし、昼行燈であり続けるためにはやはり裏側でスキルを磨き続ける必要があるとは思うので、このタイプであり続けるのも実はなかなか難しい事だとは思いますが、そもそも「気さくなおじさん」はそんなに嫌われるタイプではないので、「これからは後進の育成に力を注ぐ」とか言って逃げ切るというのも、それが年齢的に可能であれば良い戦略なのではないかと思います。

③人気者タイプ

カリスマや仙人が出色の空気スキルを持つのに対して、人気者タイプは適度にハイスキルなタイプです。カリスマは「信者を作ること」に長けていて、仙人は「敵を作らないこと」に長けているとした場合、人気者は「仲間を作ること」に長けているタイプであると言えます。

カリスマや仙人については、極めてハイスキルであるが故に、ある種の神秘性を伴って認識されることがあり「近寄りがたい」という感想を抱く人もいますが、人気者にはそうした「近寄りがたさ」があまり無い分、同じ目線に立って助けてくれる仲間を作りやすいです。

恐らく現代社会において最も力を発揮しているのがこのタイプで、就活でやたらと「リーダーシップを発揮した経験」について語らされるのは、このタイプが持つ「仲間を作る力」がフォーカスされているからだと思っています。「リーダーシップ」と言うと、人々の先頭に立って何かを主導する力というような認識を持つ方も多いですが、本来のリーダーシップは単純にそれだけでなく「プロジェクトを推進するためにメンバーを動かす能力」全般を指します。

例えば「サーバントリーダーシップ」というのは「メンバーに対して奉仕の精神を持って動いてもらう」ということを前提としたリーダーシップの発揮の仕方ですし、(個人的には蒼天航路の狂人劉備が好きなのでちょっと解釈違いではあるんですが)三国志の曹操と劉備を比較したリーダー論で言うところの「仲間に慕われる劉備」のほうが現代社会においては能力を発揮しやすいです。

嫉妬の対象になったりすることはあれど、基本的にあまり嫌われるポジションにはならないですが、集団からの要請に対して真面目に「もっとリーダーシップを発揮しなくちゃ…!」と根を詰めて「お局様/ガキ大将」になってしまったり、更にうまくいかなくて「イタいやつ」になってしまい、それに委縮して「凡人」になるケースはかなりよくあって、「役職付きに昇進させたらメンタルやられた」という話の大半はこのタイプの人なので、「こうあるべき」という像に引っ張られるのではなく、自分固有のリーダーシップの発揮の仕方についてしっかりと知ることが大事だと思います。

④お局様/ガキ大将

お局様/ガキ大将タイプは「一定以上の空気スキルはあるが、気持ちが強すぎて空回りするタイプ」です。その場の空気に対して自分のコントロール下に無いことに不安を感じるという特徴があり、その不安を他者にぶつけたりしてしまうと最高に嫌われます。

基本的には「人気者」の一種であり、自己理想が高かったり責任感が強すぎた結果そういう風になるんだろうなと思いますし、そうやって集団内に小規模な帝国を作りたがる人と話してみると、実はすごいプレッシャーを抱えておられることがかなり多いので、漫画とかで描かれるようなあからさまに「イやなお局様」みたいな存在は案外少ない印象です。

とはいえ、一部にとんでもないサイコ野郎がいるのも事実だと思いますし、客観的にそれらを区別することはかなり難しいので、このタイプは概ね警戒されると思います。

空気スキルにおいては高い洞察力があり、更には有無を言わさぬ説得力を伴ったアウトプットをすることはできると思いますが、気持ちが先走りすぎて「どうしたら相手が動いてくれるのか」という観点が抜け落ちてしまった結果、支配的なアウトプットになってしまうというのが典型的なパターンで、結果が伴っているうちは別にそれでもいいんですが、結果が出なくなってくると「うまくいかない」という焦りが生まれてしまうとドツボにはまって「イタいやつ」になります。

気持ちを抑えるというのが解決策にはなると思いますが、「空気をコントロールしようとする欲求の強さ」というのは生来の気質的な要因も大きく、そういう人はどこにいても大体そういうポジション(お局様/ガキ大将orイタいやつ)になってしまうと思いますし、それはそれで組織運営において織り込み済みのリスクだとは思うので、ただ一点「強権的であってもプロジェクトを遂行できる」という強みを活かしていくのが一番良いとは思います。ちなみに上位者は「結果出してるうちは大目に見てくれてる」というだけで、結果出さなかったらただのパワハラ野郎として処断されるので、うまくやった方がいいとは思いますが。

同時に、このタイプが納める小帝国に所属してしまった人においても、「そういうタイプ」であると認識した上で、その責任感の強さやそのプレッシャーに圧し潰されそうなナイーブさをなんとなく理解したうえで付き合うと、実はかなり御しやすい相手ではあったりするので、そんなに悲観的にならずに「この人の推進力をどうしたら利用できるか」みたいな観点から考えてみると案外楽になったりします。

⑤凡人

凡人は凡人です。が、これまでに挙げてきたようなタイプがその空気スキルを発揮できるかというのは、最大派閥である凡人からの支持によって左右されますし、集団においては極めて重要なポジションであるとも言えます。

立ち回りとしては「カリスマ」「仙人」「人気者」「お局様/ガキ大将」のいずれかのフォロワーであることが主となりますが、多数であるが故に多様性も多岐にわたり「人気者よりの凡人」や「イタいやつよりの凡人」などグラデーションが存在しています。

そして、それらを分けるのは空気スキルにおける「洞察力=空気を読む力の高さ」と「空気をコントロールしようとする欲求の強さ」のバランスだと思います。

例えば、空気を読めなくても特に積極的に空気を支配しようとしない人は「天然」として集団にとって害とは見なされないですが、空気読めないのにやたら空気を支配しようとするやつは「イタいやつ」として嫌われます。

世の中の大多数を占める凡人のポジショニングにおいては、この相関関係をベースとしたポジショニングが極めて重要であり、そのうちの「洞察力=空気を読む力」という、社会生活を通じて成長の余地がある(ありそうな)変数が重視されているというのが、世の中において「空気を読む」ということが重視される要因だと思います。

お局様/ガキ大将」の解説において述べた通り、「空気をコントロールしようとする欲求」を抑えるということは、その人のパーソナリティにメスを入れることであり、当然相応の困難があると思いますが、「洞察力=空気を読む力」というのは人生経験を積んでいく中でなんとなく習得していくものですし、その他の空気スキルである「処理能力」や「伝える力」については生まれ持った適性も大いに関連してくるところではあるので、経験でカバーできる「洞察力」は凡人にとって最もお手軽にコントロールできる要素だったりします。

そういう意味では「新人はとにかく人前(他部署、客先、飲み会等)に顔を出せ」というのは、凡人にとって最も効果的な筋トレだと思いますし、毎年GW前後に新橋駅前で行われる100枚名刺交換とかも理にかなった育成手法ではあるのかもしれません。「人の心を壊してソルジャーになるための通過儀礼」という側面のほうが圧倒的に大きいとは思いますが。

「空気を読む」という観点においては、社会経験が浅いうちは誰しもが「凡人」なんだと思いますし、実際に「子供ながらにとてつもないカリスマ性を発揮」というアニメみたいな事象は見たことがありません。それは、社会経験の浅い子供には「洞察力」を主とした空気スキルが不足しているからだと思いますし、それらは色々と経験していくうちになんとなく習得していくものなんだと思います。

そこから先は当人のポテンシャルと気質が、どのような環境において発揮されるかというだけの話であり、総体的に空気スキルが高く、適性の低い集団に入れば凡人化するでしょうし、その逆であればカリスマになれるかもしれません。

⑥イタいやつ

集団において、一番嫌われやすいのが「イタいやつ」です。凡人タイプの解説において述べたように「洞察力=空気を読む力の高さ」と「空気をコントロールしようとする欲求の強さ」のバランスが著しく崩れると「イタいやつ」になります。

凡人タイプと同様「空気読めないくせに空気を支配しようとするやつ」は当然嫌われるリスクが高くなりますし、発達障害傾向がある場合、空気スキルを構成する要素のうち「洞察力」だけでなく「処理能力」や「伝える力」においても偏りがあるケースも多いため、その傾向が更に顕著になります。

更に問題を複雑にするのは、前述の「あえて空気を読まない人」の存在です。あえて空気を読まない言動をすることで、その場においてセルフプロデュースをしたがるような人と、そもそも空気が読めなくて頓珍漢な言動をする人の区別は極めて困難で、それが先天的な特性に起因するものかどうかという判断を経ることなく「空気読めないくせに空気を支配しようとするやつ」というカテゴリに入れられたうえでヘイトを向けられてしまうというケースはかなり多く存在します。

また「重ね着症候群」と呼ばれる、発達障害とパーソナリティ障害が併発しているケースもあり、一言で「そういう人だからしょうがない」と言えるものでもないというのが、この区別をほぼ不可能なものとしている点だと思っていて、専門医でもない我々一般人が日常生活の中で「イタい言動」が故意なのか天然なのかを正確に判断するというのは極めて困難です。

結果「イタいやつ」というカテゴリに入れて、まともに付き合わないというのが合理的な判断であり、そういった傾向を持つ人の中でも、集団にとって害を及ぼさないであろう「空気をコントロールしようとする欲求の弱い人」だけが「凡人」として、集団に受け入れられるという感じだと思います。

また、うまく空気を読み切って人生をドライブしている(ように見える)「カリスマ」や「人気者」に対する嫉妬から悪態をついてしまったり、無駄にケンカを吹っ掛けてしまった挙句、「世論を味方につける」という、自分にとって一番苦手なフィールドで戦わざるを得ない状況になってしまったりすると悲惨です。Twitterで有名人に無駄に噛みついて、ちょっと反撃されたら被害者ポジションに入って味方をつけようとするものの、最初の噛みつき方が明らかに酷すぎて味方をつけることもできずにアカウントを削除する人はこれに当たります。

このように本人に悪気が無くても嫌われることがあるし、更に荒んだ心で他者に噛みついてしまうと、マジでどうしようもなくなってしまうというのが「イタいやつ」の辛いところです。

本人にできることについて考えてみましたが、正直「あまり空気スキルを求められない環境に身を置く」か「空気をコントロールしたい欲求を抑える」しかないと思うので、弁護士とかになるか座禅をお勧めしておきます。

最後のページではこれらのタイプのモデルを用いて、もう少し考えてみます。