こんにちは、久保たかしといいます。
ぼくは彼女が1度もできたことがないまま27歳になってしまっている童貞なのですが、
2年半ほど前、ムラムラしすぎて「女の子とエロい電話がしたい!」と思いTwitterでパパ活女子にアマゾンギフトカードを送ってエロ電話をさせてもらったことがありました。それはすごく良かったのですが、次の約束をしてアマゾンギフトカード1000円を前払いした後、2回もドタキャンされたあと何故かブロックされてしまったのです。
この残虐非道な女性に人の気持ちや社会のマナーというものを教えてあげたいとずっと思っているのですが、もう彼女のTwitterアカウントも削除され、連絡を取ることができません。このままでは腹の虫が収まらないので、せめてエア説教(妄想の中で説教をすること)をしてみようと思います。
「こうするとより心に響きますよ」みたいな心理テクニックを紹介・解説しながらエア説教をしていくので、説教の腕を上げたいと思っている人はぜひ参考にしてみてください。
※ぼくは1年前の夏にこのマジスカスクエアガーデンの「レンタル話し相手スタンプを作ろう」という記事のテーマになった人物です(「レンタル話し相手」というアカウント名で半年前まで活動していたぼくがよく言うセリフをLINEスタンプにしようという企画が行われ、その経緯が記事にされました)。せっかくなのでこの記事には、その時に作ったLINEスタンプの画像をたくさん使おうと思います。
パパ活女子のアイコンは自分で描きました。
パパ活女子ほのかさん(仮名)(イラストはイメージです)
では、「パパ活女子のTwitterアカウントが復活したので、新しく作った裏アカウントからDMをしてアマギフを送り電話をした」という設定で、エア説教を始めます。
最初はラポール形成に注力する
どれだけおかしいと思うことでもいきなり否定せず、まずは相手の気持ちに共感してラポール(セラピストとクライアントの相互の信頼関係のこと)を形成し、味方ポジションになることが何よりも重要です。敵より味方の方がずっと大きい影響力を持てるので!
最初の電話は最高だった
Twitterに載せてる、服の隙間から胸の谷間が見えてる写真もすごくエッチで最高だった!
無料通信アプリ「カカオトーク」でのやり取り(本物)
で、3日後に「また電話したいです」ってメッセージして1時間分の通話料のアマゾンギフトカード1000円を前払いしたら、「今晩22時から大丈夫です」って言ってくれたよね。
2回連続のドタキャン、それでも寛大なぼく
同じドタキャンの連絡でも、約束の時間の前にするのと後にするのとでは受け手の気持ちは全然違うんだよ。だから、今度からドタキャンするときは必ず約束の時間の前に連絡すること。分かった?
「ユーメッセージ」というのは、「あなたはこういうことをした」「あなたはこういう人間だ」など、「あなた」を主語にしたメッセージのことです。ユーメッセージは相手を評価したり責めたりするニュアンスを帯びやすいので、相手に偉そうな印象を与えたり反発心を抱かせたりする危険性があります。
一方、「私はこう感じた」など、「自分」を主語にしたメッセージを「アイメッセージ」と言います。
アイメッセージには相手を評価したり責めたりするニュアンスがないので、相手に偉そうな印象や反発心を与えにくいです。また、「自分は辛かった」などとネガティブなことを言えば、「相手を辛い気持ちにさせてしまった……自分は最低だ……」などと相手に自然と罪悪感を与えることができます。
これは本当に重要な概念で、不要な場面でユーメッセージを使っているせいで余計な軋轢や争いが非常に多く生まれていると感じます。もしもあなたがユーメッセージを多用しているせいで人間関係のトラブルを引き起こしているならすぐにやめて、ぼくのようにアイメッセージを使い、相手から平和に罪悪感を引き出すようにしましょう!
ついに明かされる、ブロックされた理由
ほのかはそう呟いたが、その先の言葉は出てこなかった。眉間に皺を寄せ、唇を噛み、泣きそうな顔で俯いている。その様子を見て、たかしは穏やかに尋ねた。
「背中、さすってもいい?」
ほのかがコクンと頷くと、たかしはほのかの背中にそっと手を置き、優しくさすった。
「大丈夫。絶対に怒らないから。吐いたら楽になるよ」
それでもほのかは話さない。たかしはさらに語りかけた。
「今のほのかさんを見たら、親御さんはどう思うかな。親御さんもきっと、ほのかさんが勇気を出して話すことを望んでる筈だよ。いくらでも待つから、自分のペースで話してみて? 偽らず、正直に 」
部屋に差し込む西日がほのかの頬をオレンジ色に照らしている。たかしは手の平にほのかの背中の温もりと汗とブラジャーを感じながら、静かに待った。
そうして20分ほど経った頃だろうか。ほのかはようやく意を決した様子で、ゆっくりと話し始めた。
「私……彼氏に……浮気されたんです。それがあまりにもショックで、Twitterもカカオも見なくなっちゃって……。で、1回目の電話の時たかしさん、『ぼくは彼女ができてもどんどん浮気していきたいんだよね』っておっしゃってたじゃないですか。それを聞いた時はなんとも思ってなかったんですけど……自分が浮気された立場になったら、急にたかしさんのことが嫌いになって、許せなくなって……それで、ブロックしたんです」
言い終わると、ほのかは叱責を覚悟するかのようにぎゅっと目を瞑った。ところが実際にほのかに浴びせられたのは叱責ではなく、感謝の言葉だった。
「話してくれてありがとう」
たかしはほのかの栗色の頭に手を置き、よしよしした。ほのかが目を開け、顔を上げる。たかしはにっこりと微笑んでいた。
「この件を友達に話したら、『気持ち悪いと思われたからブロックされただけでしょ』って言われたんだけど、もし1回目の電話の時に気持ち悪いと思われたなら、その次の約束をしない筈なんだ。約束をしておいてブロックしたのが本当に不思議だったからずっと理由を知りたかったんだけど、『彼氏に浮気される』っていう事件が起こったから、約束した後に急にぼくのことを嫌いになったんだね。やっと謎が解けてスッキリしたよ。ありがとう」
ほのかは信じられない様子でたかしを見つめ、震える声で尋ねた。
「怒らないん……ですか?」
「ぼくは『正直に話して』って言っただけ。それに対して正直に話した人に咎があるはずもない」
「たかしさん……!」
ほのかはたかしに抱きつき、わんわんと泣き出した。崩壊したダムのように、これまで堪えていたものを一気に吐き出す。
「私、ずっと辛くて……。この2年半ずっと、とてつもない罪悪感と自己嫌悪感を抱えながら生きてきたんです。『たかしさんは私にあんなに良くしてくれたのに、私はなんて酷いことをしたんだろう』って」
たかしはほのかに抱きつき返しながら、ほのかのシャンプーの香りを懸命に嗅いでいた。アロマの香りが大脳辺縁系に到達し、オキシトシンが分泌され、副交感神経の働きが活発になっていく。また、胸板に神経を集中させ、ほのかの柔らかな胸も感じ取っていた。
「確かにぼくはほのかさんに裏切られて傷ついた。だけど……裏切る方はもっと辛かったよね」
裏切られた立場にも関わらず裏切り者の身にもなる己の度量の大きさへの誇りと、裏切り者としての良心の呵責に苦しめられてきた女性を救えたことへの安堵とで胸がいっぱいになり、たかしの目からも涙が溢れた。2人は抱き合ったまま10分ほど泣き続けた。
ようやく泣き止み抱擁を解除したあと、たかしは優しく言った。
「怒ることはしないけど、優しくお説教はするよ。それはいいね?」
「はい」
ほのかが覚悟したように頷くと、たかしは「言いたいことは3つかな」と言った。
エア説教開始
「まず言いたいのは、彼氏に対して持ったネガティブな感情をぼくに向けるのは間違ってるってこと。ぼくは確かに『浮気をしていきたい』と言ったけど、ほのかさんに対して浮気したわけじゃないからね。なのにぼくを彼氏と同じように嫌うのはお門違いというものだ。これは心理学用語で『転移』と言うんだけどね」
「転移?」
「うん。『クライアントが、過去に重要な他者との間で生じさせた欲求、感情、葛藤、対人関係パターンなどを、別の者に対して向ける非現実的態度』のことだよ」
「これは本当によくあるんだ。たとえば、過去に女性からDVを受けて女性嫌悪に陥っている男性が、優しい女性に過去のDV女性のイメージを重ねて嫌悪感情をぶつけてしまうとかね。Twitterとかにさ、『何も嫌なことをしてない筈なのに何故か自分に強い嫌悪感情を向けてくる人』っていない?」
「ああ、います。私からは一度もリプライ送ってないのに、何故か私のことをやたら敵視してクソリプを送り続ける人が」
「そういうのって大体、転移なんだよね。ほのかさんからは何もされてないのに、自分に嫌なことをしてきた人のイメージをほのかさんに重ねて、ほのかさんを攻撃することで自分に嫌なことをしてきた人への復讐心を晴らしてるんだよ」
「なるほど……」
「でも、いくら辛いからってその感情を関係ない人にぶつけちゃいけない。それは迷惑行為だし、八つ当たりというものだ。転移をしていくと『何こいつ!?』って思われてどんどん嫌われていくから、絶対にやめたほうがいい」
「そんなことを私はたかしさんにやってたんですね……。本当にごめんなさい」
「じゃあ次は言いたいことの2番目。そもそも、浮気されたからって怒るのが間違ってるんじゃないかな?」
「え?」
ほのかが驚いて聞き返すと、たかしはまた詳しく説明し始めた。
「ぼくが『浮気したい』って言ってるのは、浮気を禁じられるのが許せないからなんだよ。
『浮気を禁じる』っていうのはつまり、『あなたの体は私が所有しているから他の人に譲っちゃダメよ』っていうことでしょ? これって恐ろしい考えだとぼくは思うんだよ。
付き合っていたって結婚していたって、自分の体は誰のものでもないんだ。自分の好きなように自由に使っていいし、その自由を制限する行為は人権の侵害だと思う。
そういう侵害を、『お願い。私のワガママなんだけど』って謙虚にしようとするならまだしも、当然のような顔でしてくるなんておかしいよ。ぼくには考えられない」
ほのかは生まれて初めて聞く学説に衝撃を受けていた。
「確かに……よく考えたら、浮気を禁じるのってものすごい侵害だしエゴですね……。私、彼氏に対しても酷いことしてたんだ……」
「分かればいいよ。じゃあ最後、言いたいことの3つ目ね。ぼくをブロックしたいと思った時、ブロックする理由をちゃんと言って欲しかった」
たかしは少し悲しげな顔でほのかを見つめた。
「無言でブロックされたら理由も分からずただ混乱するだけだし、ブロックを止めるチャンスもないからね。1度でもやりとりをした人間同士には心の繋がりができるから、どんな理由でそれを断ち切るにせよ、ブロックする前にはその理由を教えて反論と学習の機会を与えてあげないといけないと思う。それが人としての優しさであり義務であり、マナーだよ」
「人としての、優しさであり義務でありマナー……」
ほのかは小さな声で呟き、またポロポロと涙を流し始めた。
「私……人として大切なことを忘れてました。『人の気持ちや繋がりは大切にしなさい』っていうお母さんの教えをずっと大切にしてきたのに……。大人になって、子どもの時の純粋な気持ちを忘れてしまっていました」
「今気づけただけでも大したもんだよ」たかしはほのかの涙をぬぐった。「今からでもその時の気持ちを取り戻して、立派な人間を目指そう。人は何者にでもなれるんだ。いつからでも」
「はい、これからきっと生まれ変わってみせます!」ほのかは少しだけ笑顔になった。「今後していくパパ活のお取引やエロ電話では、同じような無礼は絶対にしないです。真心込めて取引します!」
「そのことなんだけど……」たかしは突然神妙な顔になった。「もう、パパ活をするのはやめた方がいいと思う」
ほのかさんの幸せを願って
「え?」ほのかは驚いて聞き返した。「どうしてですか?」
「やっぱり、自分の体や魂は大切にしないといけないと思うからだよ。ぼくもお金を払ってサービスを受けはしたけど、ただエッチな会話をしただけだからね。ただ話をするだけなら魂はそんなに傷つかないかなと思ったからやったんだ。でも、電話しながらそれ以上のことをしたり、会ってお食事以上のことをしたり……そういうことは魂を傷つけてしまうと思う」
「でも……私、平気ですよ。パパ活をして生活していきたいんです。それが私にとっての幸せなんです」
ほのかは毅然と言った。無理をして嘘をついている感じはない。だが、たかしは首を横に振った。
「それは君が未熟だからそう思っているだけだよ。何年後かに必ず後悔する。ぼくは、判断力が未熟な女性が体を売るのはその人のためにならないから、判断力のある真っ当な大人はその人を止めないといけないと思っているんだ」
「どうしても……止めるんですか?」
「うん」
「じゃあ……力づくで抵抗しますね。魔法カードを発動します」
ほのかはそう言ってポケットから緑色のカードを取り出し、天に掲げた。
「“課題の分離”。『人間関係のトラブルが起きたとき、それは自分の課題なのか他人の課題なのか切り分けて考えることができる』! これはアドラー心理学の最重要概念です。これで、たかしさんはもう私の課題に踏み込むことはできないですよ」
「ふふふ……そう来ると思って、トラップカードを仕掛けておいて正解だった」たかしは不敵に笑いながらポケットから紫色のカードを取り出し、ほのかの眼前に力強く突きつけた。
「“課題の結合”。『分離された課題を結合し、相手の課題に自由に土足で踏み入ることができる』!」
あ
「くっ……!」ほのかは一瞬狼狽えたが、すぐに「もう1枚!」と言ってまた緑色のカードを取り出した。
「“愚行権”。『誰にも迷惑をかけていない限り、他人から見ていくら愚かに見える行為であっても自由にすることができる』! ふふふ、これで私の行動を止めることはできませんね!」
あ
「まだまだだね」たかしは臆することなく、また紫色のカードを取り出した。
「“パターナリズム”。『強い立場にある者が弱い立場の者の意志に反して、弱い立場の者の利益になるという理由から、その行動に介入したり干渉したりできる』。 これにより、“愚行権”の効果は無効化される!」
「くっそおお!」ほのかはガックリと膝をついた。「もう……たかしさんの言うことを聞くしかないですね」
「そうだよ」たかしは勝ち誇ったように笑った。「ほのかさんの幸せはぼくが決める」
「分かりました。もうパパ活やエロ電話はやめます。今の会社で普通にコツコツ働きます」
「うん、それでいい」
「ところで……」ほのかは小さい声でつぶやいた。何やらもじもじしている。
「あの、私……たかしさんのこと、好きになっちゃいました……」
頑張って気持ちを吐き出すと、ほのかは一気に言った。
「たかしさん、素敵すぎます。あんなに酷いことをした私を許してくれて、一生懸命叱ってくれて、私の意志に反してでも私の人生のことを考えてくれて……。こんなに好きになった人、生まれて初めてです。よかったら、私と真剣にお付き合いしてください!」
頭を下げたほのかに、たかしは温かく微笑んだ。なるべく傷つけまいと、できる限り優しい声を出す。
「気持ちはすごく嬉しいよ。ありがとう。だけどぼくは……パパ活やエロ電話をするような貞操観念の低い人は、彼女としては受け入れられないんだ。本当にごめんね」
ほのかは数秒間固まっていたが、やがて頭を上げた。
「分かりました」また流れる涙をぬぐいながら気丈に笑う。「でも……たまに、エロ電話はしてくれますか?」
「もちろんだよ」たかしはにっこりと笑って頷いた。「じゃあ早速一つ、エッチな質問をしてもいいかい?」
「はい、なんでしょう!」
「今、何色のパンツを履いてるの?」
「うふふ、何色だと思います?」ほのかはいじらしく笑った。
「え〜、ピンクかな!」
「すごい! 正解です!」
「ふふふふ、エッチだね!」
たかしとほのかは2年半前のあの日のように、平和に明るくエロ電話を楽しんだ。
〜完〜
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