他の景色でもやってみた
六本木ヒルズの光景によって勝ち組感を感じた我々は、他の光景にも挑戦してみた。
景色はお部屋のインテリア。引っ越さずとも全く異なる景色に差し替えるだけで、生活に変化をもたらすことができるのだ。
そう、例えばある日のAM 8:00。
眠い目を擦りながらカーテンを開ける。昨日と何も変わらない日常が、今日も始まろうとしている。
そんなとき、視界に飛び込んできたのは、
エッ…!?
向かいの家の女の子の、生着替え!?
女の子「キャーーー!!何みてんのよアンタ!」
桐生「わ、わりぃ…!」シャッ
向かいなんて誰もいなかったよな…
あ、そういえば昨日引っ越しのトラックが来てたような…、まさか、あいつが新しいお隣さん…?
チラッ
同世代と思われる背格好。この辺りに中学校は1つしかないから、もしかしたらあいつが同級生になるのかな…
っておいおい何考えてんだ俺!別にどうでもいいだろあんな女!
とりあえず…
撮っとくか
ってバカバカ俺のバカ!そんなんするわけないだろ!とにかくもう学校の準備しなきゃ、遅刻しちまう!
…こうして最悪の出会いをした二人だったが、桐生にとって昨日までの何の変哲もない日常が、少しだけ色味を帯び始めた気がした。
実はこの二人が半年後、文化祭でちょっとした事件を巻き起こすことになるのだが、
それはまた、別のお話。
桐生「おーい!いつまで着替えてんだ遅刻するぞ!お前も学校だろー!」
女の子「うるさいわね今いくわよ!そうだ、ちょうどいいわ。私転校初日で学校の場所わからないの。アンタが案内しなさい!」
桐生「なんだ偉そうなヤローだな!いいから早く出て
とにかく窓を開けたら全部終わりだ。
眼前に広がる、一階を絵に描いたような光景。中学などとっくの昔に卒業した実年齢の自分に立ち返る。
くわえて覗き見・盗撮はれっきとした犯罪である。
窓の開閉には気をつけよう。
さらに他の景色でもやってみた
向かいに幼馴染の家が見える景色は、失ったあの頃の青春を取り戻してくれるような甘酸っぱい世界が味わえる。
窓の風景には、その部屋だけのストーリーがある。それは現実でも虚構でも構わないのだ。
最後にこんな景色も用意してみた。
シャッ
ヤヒィ〜♪
……。
かわいいな(笑)
ヨッシーアイランドに決して存在してはいけない風貌の男も、これにはご満悦の様子だ。
ふと窓の外を見るとヨッシーが赤ん坊のマリオを運んでいるのだ。ついついほっこりしてしまうというもの。
ウクレレを弾き鳴らし、ヨッシーアイランドの世界観に自ら赴く。
あえて隙間だけ見せてワンポイントに可愛さを演出するのも良い。
間接照明ならぬ間接ヨッシー。 気になる女性を連れてきてしまえば、このファンシーな光景にイチコロであろう。
いやあ、これはかわいいな〜…
赤ちゃん、起きてるよ。
この距離でいけるかな。
その後もうっとりと窓の外のアイランドを見つめていた桐生。
これが本当にゲームの世界なら完全にラスボスの図であるが、任天堂の癒しの世界に部屋全体で浸れるというのはなんとも多幸感に溢れた空間だ。
二次元から三次元まで対応できるいわば
『窓の外の模様替え』
皆さんもぜひ試してみてはいかがだろうか。
総括
これらの実験により、自分の身の丈では到底叶えられない住処でも、窓の景色だけ変更することでその気分を味わえることが分かった。
これは大変意義深い結論だと考える。
現実と虚構の境界線から、ちょっとだけ虚構側に身を置くことで幸せな空間が演出できる。タワマンに住みたい。幼馴染が欲しい。
そんな理想(虚構)を実現しようと頑張るのも一興だが、いっそ虚構は虚構のまま作り上げてしまうのも素敵ではないか。
頑張りすぎる現代の人々へ、我々はそんなソリューションを提案したい。
ただし、虚構に手を伸ばそうとしても。
急に解像度上がりすぎて気分わりい。
虚構は虚構のままなので、悪しからず。
完