ドラマ『プライド』の中でキムタクは本気を出せば何回「メイビー」と言えたのか




 

皆さんは2004年にフジテレビ系列の月9枠で放送された、ドラマ『プライド』をご存知だろうか。

 

出典:フジテレビオンデマンド (引用元)

 

主演の木村拓哉演じるアイスホッケー選手・里中ハルと、竹内結子演じるOL・村瀬亜樹による恋愛を主題とした作品であり、

「氷上の格闘技」と言われるほど過酷なアイスホッケーという競技にもスポットライトが当てられた、いわばスポ根(スポーツ根性モノ)ラブストーリーである。

 

同作は月9ドラマでは歴代2位の「25.2%」という平均視聴率を叩き出し、当時日本では人気の低かったアイスホッケーの普及にも大きく貢献した。

またロックバンド「Queen」の楽曲が作中で多く使用されたことから、同バンドの日本での人気再燃のきっかけにもなるなど、多方面で話題を読んだドラマ作品である。



そんなドラマ『プライド』といえば、作中でキムタク演じる里中ハルが「メイビー」という言葉を多用することでもおなじみだ。

これは英語の「maybe」のことであり、「たぶん・おそらく」の意である。

 

この「メイビー」は、アイスホッケーに専念するため恋愛を半分遊びの「ゲーム」と位置付け、曖昧な意思表現を繰り返すハルの口癖である。

やがて仮初の恋人だった亜樹への思いが、「メイビー」から「マストビー(must be)」へと変わっていくハルの心境の変化も、この作品の魅力の一つだろう。

 

すなわち、この「メイビー」は本作の根幹を形成する重要なキーワードなのだ。

 

 

もしキムタクが本気を出せば、作中で何回「メイビー」と言えたのだろうか。

彼の発言において、メイビーに英訳されず「たぶん・おそらく」的なことをそのまま日本語で言っているシーンもきっとあるだろう。

そのため、本当にメイビーと言えた回数は実際のメイビーよりも多いはずだ。

 

今回はそんな、本当なら言えたメイビーの数を明らかにすることで、同作の根幹部分に対する理解をより強固にしたい。

それではこのメイビーの追究をもってして、本作の真髄へと迫っていこう。

 

調査開始

今回はドラマ『プライド』全11話を視聴し、キムタク演じる里中ハルの全発言をチェックしていく。

本来英語の「maybe」は可能性が50%程度の表現だが、作中でのキムタク可能性の高低とはほぼ無関係に「メイビー」を乱発している。

 

 

そのため、今回はキムタクの「たぶん」「おそらく」「かもしれない」「もしかすると」、またそれらに準ずる表現をすべて「メイビー」に変換可能として進めていく。

もちろん、そのまま「メイビー」と発言した箇所もカウントして合計する。

 

それでは早速確認していこう。

 

1〜2話

海外赴任をして2年間連絡のない彼氏の帰りをいまだに待ち続けている亜樹と、ゲームとしてしか恋愛ができないハルが知り合い、仲を深めていく段階である。

二人は、亜樹の彼氏が帰ってくるまでの仮初めの関係というルールで「ゲームの恋愛」をスタートする。

 

そんな1~2話の中でも、キムタク(ハル)は次々と「メイビー」を繰り出した。

英訳前も含めて「メイビー」発言を抽出したものがこちらだ。

 

1~2話の時点で「メイビー」は4回、さらに本気を出せば7回「メイビー」と言えていたことになる。

一番下の相田みつをみたいなセリフ「メイビー、心が凍っちまった」と言えば格好もつくはずだが、そうはいかないようだ。

 

メイビー化できなかった3つの発言は、ハルが最も信頼するチームメイト、大和に対するものである。

一方で、知り合って間もない亜樹に対しての発言はすべてメイビー化されている。

 

発言の対象によりメイビー化の傾向も異なるのである。ここにまた一つ、メイビーの興味深い特徴が見て取れる。

 

3話

3話では計4回、本気を出せば6回という結果に。

相変わらず亜樹に対してはメイビーだが、ここで大和に対してもメイビーを発動し始めた。大和が「ん?なん、何?なんて言った?」となってないので、以前から彼にも言っていたのだろう。

 

しかし、大和への1メイビーも、亜樹との関係を問いただされたシーンである。その際も、メイビーで返答を濁している様が見て取れる。

 

実はハルが恋愛をゲームと捉えるのはアイスホッケーに専念するためではなく、本当の理由が別にある。

ハルの母親は幼少期に蒸発しており、その経験から大切な人がいなくなる恐怖に今もかられているのだ。

 

亜樹への自分の気持ちを伝える際、または亜樹と自分の関係を言い表す際、ハルはメイビーという言葉で濁すのが精一杯なのである。

 

4話

4話では計4回、本気を出せば7回という結果に。ここに来て初の「メイビー?」という疑問形の活用が登場する。

車の中での亜樹との言い合いのシーンでは、相手に発言の隙を与えぬよう「メイビィィィィ」とメイビーを伸ばす高等テクも見せつけた。

 

全体では、亜樹に対して徐々にメイビー以外で会話をするようになっており、ハルの心の成長が見て取れる。

 

5〜7話

まさかの「そうかもしれない」がそのまま出てきた。

メイビー以外のなにものでもない、純然たるメイビーが翻訳前の状態むき出しでそこにあった。この時の亜樹の質問を考えると、口癖を忘れるくらいによっぽど動揺したのだろう。

 

5~7話では計6回、本気を出せば9回という結果に。総合的には各話のメイビー頻度がかなり下がっている。

先述の通りメイビーはコミュニケーションにおけるある種の逃避の現れであり、メイビーの出現頻度が低まったことはすなわち、ハルの心理的変化に繋がるのだ。

 

8〜9話

物語も佳境となる8~9話では、結果は計2回。しかし本気を出せば6回となった。

メイビーのうち1回も単に文字を読み上げただけであり、明らかにメイビーのモチベーションは下がってきている。

 

「ひょっとしたら」「うん、たぶん」などは、一話のハルならメイビーと言いたくて生唾もんのセリフだが、このまま翻訳前の状態で出ているのはハルの成長描写なのだ。

 

10〜11話

昔はクールにメイビーの一言でまとめてたのが、「まあ俺もそうかもしんないすけど」なんてダラダラ喋るようになってしまった。

10~11話では計1回。ちなみにクライマックスの11話には、メイビーが一度も出てこない。

 

曖昧な意思表現であるメイビーを最終話で完全に卒業するのは、主人公ハルが逃避をやめ、向き合うべきものに向き合い出したからだと言えよう。

 

そんな最終話でハルは3年ぶりに再会した亜樹に、ゲームではない本気の交際を申し込む。

そこで口づけを交わす瞬間、may be(かもしれない)ではなく must be(に違いない)と言う。

 

メイビーは次のステージに進化して、このドラマは終わりを告げるのである。

 

結果

メイビー: 21回

メイビーに代替可能な発言: 20回

 

つまりキムタクはドラマ『プライド』の中で合計21回メイビーと言ったが、

本気を出せば41回メイビーと言えた、という結果になった。

 

グラフにすると、以下のようになる。

 

序盤に盛り上がりを見せたメイビーが中盤以降明らかに失速し、未英訳の発言の割合が目立ってくることが分かる。

 

キムタク以外ではどうなのか

それではキムタク以外の登場人物も、本気を出せば作中で何回「メイビー」と言えたのだろうか。

果たしてメイビーは主人公にユニークなものだったのか。こちらの検証結果が以下である。

 

キムタクがダントツである。

さすがはメイビーの申し子と言ったところだ。しかし亜樹や大和も負けてはおらず、最終話付近で大きくメイビーを伸ばしている。

 

もう周りが言いすぎたせいで逆にキムタクが言いづらくなってないか。

そう思われてもおかしくないメイビーラッシュだ。しかしキムタクには物語序盤でのメイビー貯金があるため、見事首位の座を守りきった形となった。

 

やはりメイビーは、キムタクと共にあった。

 

総括

いかがだっただろうか。

かつて一大ブームになったドラマ『プライド』に対して、メイビーのポテンシャルを測ることで改めて物語の素晴らしい構成に触れることができた。

 

あなたの口癖は何だろう。知らぬ間に自分のネガティブな一面が口癖に表れてしまってないだろうか。

そんな時はキムタクのように、その口癖を捨ててみよう。

 

キムタクのように次のステージに進んでみよう。大丈夫、誰だってできるのさ。

 

メイビー?

 

 

いや、

 

 

 

マジで。