古来より結婚式のスピーチで用いられがちな「人生の3つの袋」の話をご存知だろうか。
これは夫婦円満の秘訣を袋に例えた話であり、
・堪忍袋
・巾着(給料)袋
・お袋
の3つを指している。
円満な結婚生活を送るには「すぐに怒らないこと」「お金の管理をしっかりすること」「産んでくれた母親を大切にすること」が重要であるという話だ。
さらに定番のボケとして、この「人生の3つの袋」に「金玉袋」を混入させるパターンがある。
「人生には3つの大切な袋があります。1つ目は堪忍袋。2つ目はお袋。そして3つ目は金玉袋です。」
といった三段落ちが定石であり、オヤジたちの下卑た笑い声が聞こえてくるようだ。
祝いの場にしては鋭い下ネタだが、あの北野武も林家三平の結婚披露宴の際に「人生の3つの袋」で金玉袋を出しており、
今となっては本来の3つの袋がそのまま話されることの方が少ないのかもしれない。
実際「人生の3つの袋」の話を知らない場合、「大切な袋」から巾着袋などを連想できる人間がどれだけいるだろうか。
特に本家の話に聞き馴染みのない若い世代では、堪忍袋やお袋よりも、金玉袋の方が頭の引き出しの手前にあると推測する。
今回は「人生の3つの袋」の話を知らない人に大切な袋を3つ答えてもらったとき、
どれだけ金玉袋が出てくるのかを調査する運びとなった。
仮に金玉袋が正規の3袋よりも「大切な袋」として認識されていた場合、今後結婚式のスピーチでは沈着な態度で金玉袋の話ができるのだ。
令和の時代になった今、旧き慣習を見改めて人生の大切な3つの袋を時代に合わせてアップデートしていこう。
調査開始
今回は炎天下の渋谷駅前にて調査を実施。
「人生の3つの袋」の話を知らない、もしくは知ってはいるが3つの袋が何かは分からないという人に、「大切な3つの袋」を考えて回答してもらい、集計していく。
また回答の3つの袋に金玉袋が含まれていなかった場合には、聞ける範囲で「思いついたけど言わなかった袋」の聞き取りもおこなう。
1番に金玉袋が思い浮かんだがあえて言わなかった、そのような金玉袋の取りこぼしを防ぐためである。
それでは調査を開始していこう。
1人目の20代男性は「金玉袋、池袋、堪忍袋」と、いきなり金玉袋から本調査は幕を開けた。
今の若者にとっては、金玉がしっかりありつつ、サンシャインとかに遊びに行って、イライラもしない。というのが大切な価値観なのだろう。
こちらの20代女性は「堪忍袋、防災袋、給料袋」だった。なかなか堅実な袋を取り揃えており好感の持てる女性である。
なお今回の調査では給料袋と巾着袋は同義として、「巾着(給料)袋」とカウントして進める。
また、玉袋・金玉・金玉袋も全て「金玉袋」として進める。
30代男性は「堪忍袋、知恵袋、胃袋」と答えてくれた。
ちなみに思いついたけど言わなかった回答としては「金玉袋」と回答。やはり頭によぎるのだ、金玉は。
こちらの20代女性は質問に対して「全部玉袋」と言い放った後に、少し考えて最終的に「金玉袋、お袋、胃袋」と回答してくれた。
三人分の金玉を大切にしようとする気概には中々末恐ろしいものを感じるが、一方でそんな彼女でもその次に母親が出てくるのは、どこか心が温まる話だ。
このような具合で調査は進んでいき、
計100人に達したところで調査は終了。
果たして「人生の3つの袋」の話を知らない人たちが考える大切な3つの袋に、金玉袋はどれだけ入ってくるのだろうか。
これより集計結果を発表していこう。
今回は協力いただいた100人の回答の中の、25種類の袋の順位を第25位から順番に紹介していく。
第25位
回答者数はいずれも1人、ニッチな袋が勢揃いだ。
下校中に膝で蹴り上げながら帰ったような給食袋でも、人生の3袋に選出する人はいるのである。
多種多様な袋が並ぶ中でも一際目を引くのは島袋(SPEED)だろう。
しかし結婚式のスピーチで、花嫁を差し置いて島袋を引き立てては大目玉である。それがいかにスピード婚であったとしても、だ。
もちろん主題の金玉袋は未だ登場せず、上位が確約されている様子だ。
集金袋を挙げる外回り営業マン魂や、飴ちゃん袋を挙げる関西おばちゃん魂などを抑え、ハイスコアを狙う金魂(きんたましい)に注目である。
第20位〜11位
20位より上は回答者が複数になってくる。
アーティスト枠はSPEEDで打ち止めと思いきや、まさかのコブクロがその上に構えていた。金玉、母親、心の安寧のどれかを犠牲にしてまでコブクロを欲した人が6人もいるという事実は凄まじいものがある。
また、6票を有するコブクロにはすでに2人分の金玉袋が含まれているため、金玉袋もこの時点で既に12票獲得しているとも考えられるが、今回はあくまでフェアに集計することを追求しよう、
そのほかにも笑いあり涙ありビニールありと、古今東西様々な袋が出揃った。
第9位~6位
レジ袋や紙袋など買い物帰りの袋への注目度が高まっており、昨今のレジ袋有料化の煽りであると伺える。
そしてここで、未だ出てきていない金玉袋はBEST5が確定した。
同じく本家の堪忍袋・巾着(給料)袋・お袋も出てきていない。金玉が先か、巾着が先か。
続いて第5位の発表である。
第5位
巾着が、先だった。
第5位に本家の「巾着(給料)袋」がランクイン。熾烈な袋競争に敗北を喫したのは、まずはこっちの金(きん)だった。
回答者の性別は男性が61.1%、女性が38.9%となった。
ちなみに3つの袋のうち巾着(給料)袋が何番目に答えられたかについては上記のようになった。
1番目と2番目の回答が多く、基本的にこの語彙を持っている人は最初の方に出すものと推察される。お金を重視する人は、いつの時代も多いものだ。
第4位
続いて4位にランクインしたのはまたもや本家の「お袋」だった。
未だ金玉袋は現れず。ここで、偉大な母の順位を金玉が越えていった。お母さん、あなたの息子の金玉はこんなにも大きくなりました。
また、そもそも今の若い世代には「お袋」という単語がそもそも聞き馴染みがないかもしれない。
こちらも男性がやや多く、3つの袋のうち1つ目の袋としてあげられることが半数に上ることがわかった。
この時点で金玉袋の3位以上が確定した。まさに金玉袋のために用意されたこの調査において、我々の目論見通り、金玉袋が躍進している。
第2位
ここで「金玉袋」がランクイン。
惜しくも2位に甘んじた金玉袋。金玉ながら銀メダルとは何とも歯がゆい結果である。
割合は全体の約40%であった。胃袋も同人数でランクインしており、やはり身体のことは重要なトピックなのだと再認識させられる。
金玉袋の回答者は圧倒的に男性が多く、39回答の中で女性は5人だけであった。
また、何人かの女性回答者には最後に本集計の意図を説明したのだが、「金玉に袋の認識がない」という声がいくつかあった。
なるほど、そもそも袋などなくアメリカンクラッカー状態でぶら下がっているという理解の女性もいるようだ。
男性の34回答のうち、何番目の回答かという点では、1番目か3番目が大きく拮抗する形となった。
上記グラフの通り、「2番目の袋」に関しては小さく縮こまる形で「1番目の袋」と「3番目の袋」の間にぶら下がる形となった。
およそ「人生の3つの袋」と聞いて瞬発的に金玉袋をあげる人、もしくは最後の1つで悩んだ挙句に満を辞して金玉袋をあげた人のどちらかだろう。
第1位
第1位は堂々の「堪忍袋」であった。
金玉を失ってでも波風立てずにやり過ごそうという、近年の草食系男子の潮流を色濃く反映する結果となった。
性別や回答順にも目立った偏りはなく、その裾野の広さから一位を獲得したものと思われる。
全体の回答数の分布は以下のようになった。
前提として男女の回答数に差があるため、男性:女性=6:4くらいが標準の割合になる。
それを踏まえると、金玉袋に集まらなかった女性の回答はゴミ袋や紙袋に吸収されているようだ。
金玉袋なんて、そんなものなのかもしれない。
総括
いかがだっだだろうか。
今回の調査で「人生の3つの袋」の話を知らない100人に大切な袋3つを聞くと、39人が「金玉袋」と回答することがわかった。
今後この39という数字が増えていくかもしれない。
もしかすると結婚式でのスピーチで、3つ目に金玉袋を持ってくるのがボケじゃなくなる日が来るのだろう。
遠くない未来、あなたの子供の結婚式で金玉袋の話が出てきたとしても、堪忍袋はどうぞ冷静に。
完