人は時に自身の大切な存在を空に思い浮かべ、その人物に思いを馳せる。
映画や漫画でも時折、別離した大切な相手の顔が空に浮かぶシーンが存在する。ついつい感傷的になってしまう、定番のシーンだ。
それはあなたとて例外ではない。あなたにも、自分のことを大切に思う人がきっといるはずだ。
あなたが遠くに行ってしまった時、もしくは命を落とした時、その人があなたの顔を空に思い浮かべることだろう。
事前準備もなくいきなり本番で空に浮かぶのである。あの絶妙な透け感など、うまくできるだろうか。
もしも透明度を履き違えるとこうなってしまう。
溢れ出る進撃感が抑えられなくなった。
もちろんこれでは感傷もクソもなくなってしまう。
自分を大切に思ってくれている人たちのためにも、良い思い出として空に映し出されるには、適切な透明度を維持しなくてはならないのである。
ということで今回は、いついかなる場合に我々が青空の中で微笑む場面が来ようとも、素敵な笑顔を空に残せる適切な透明度を調査することにした。
調査開始
今回は以下の人物の笑顔を空に映し出し、調査していく。
ごどう…当サイトの企画スタッフ。“仲間のためを思い命を落とす”タイプの顔をしているため、今回の検証役を担う。
空に映し出されたごどうの笑顔は、0%から段階的に透明度を上げていく。
その中で最も違和感なく空に映える透明度が、今回の調査のゴールとなる。
それでは早速初めていこう。
透明度「0%〜70%」
まずは透明度「0%」から見ていこう。
透明度「0%」
やはり純度「0%」は論外である。
ちょっと手のポーズを変えただけで見上げてるやつが死にそうだし、根元の方の街の被害が心配になってくる。
透明度「20%」
まだ感傷的な気分とは程遠い。ほとんど「0%」と変わらない進撃感を見せつけている。
透明度「40%」
このあたりから徐々に思い出としての勝負ができるようになってきた。
とはいえまだ、存在感のない巨人くらいの認識もできてしまう。
透明度「50%」
思い出の人物として様になってきた。
しかしまだ、感傷的な要素を求めるには色素が強すぎるようだ。
透明度「70%」
このあたりがベストではないだろうか。
一応、まだまだ上げて調査してみる。
透明度「80%〜95%」
透明度「80%」
なんか地縛霊的な方向になってきた。
本来写ってはいけないものという印象が強い。感傷に浸るにはある程度の色素が必要という事実に改めて気づかされる。
透明度「90%」
霊障の側面が強まり、かなり怖くなってきた。
もしこれが本当に思い出の笑顔なのであれば、大切な人をあんま覚えてないんじゃないかと勘ぐってしまう。
透明度「95%」
もはや現像ミスである。
結局「70%」以上では、感傷的な気持ちが薄れていってしまった。
以上を踏まえて、感傷的になるために最もベストな透明度は、その少し下「65%」であるという結果に至った。
透明度「65%」
やはり安心して感傷に浸れる透け感である。我々も有事の際にはこのくらいを目指したい。
透明度「65%」(昼)
昼間であっても「65%」が最適であることは変わりなさそうだ。
安心して、仲間のために犠牲になった男の笑顔などを思い浮かべることができる。
透明度「90%」
ここでも「70%」以上は恐怖感が勝つ。
まずは実体化させないと攻撃が通用しないタイプの敵になってしまった。
やはりベストな透明度の解として「65%」は揺るぎないものだと判明したのである。
人数は何人がベストなのか
感傷的な気分を保てる最適な透明度ははっきりした。
では最適な人数はどうだろう。
自分の大切な人物が複数人いる場合もあるだろう。遠くにいる大切な仲間たちに、同時に想いを馳せてもいいわけである。
ということで、先ほど導き出した「65%」の透明度で人数を増やしながら映し出してみよう。
2人
苦楽を共にした二人である。
感傷に浸るのにも適した仕上がりだ。「お前ら、俺のことを一人にしやがって」と、空の向こうにいる二人の親友に独りごちるのである。
涙が頰をつたいながらも、二人の分まで前を向こうと決意を固めるのに最適な透明度である。
3人
全然あり得る範囲だろう。
4人組というのは、様々なドラマを生む最適なユニットだ。仲間が一人だけ戦地から生き帰った場合など、非常に参考になる空への浮かび方である。
4人
ちょっと空がうるさくなってきた。
各々が自分のスペースを考え始めている。4人が入りきれるように、空きを意識して佇んでいる気がしなくもない。
感傷的な光景の中でそんな忖度は見たくない。
5人
だいぶ思い出が騒がしくなってしまった。
大切な人、もう少し絞れよと思ってしまうのも無理はないだろう。重なりも増えていって、おそらくメインの思い出のごどうが見辛くなってきているのも難点だ。
6人
もう限界である。
もはや何とか空に入ろうと思い出側が工夫するしかない状況だ。これ以上増えると大切なやつ失いすぎだろうと、空を仰ぐ側への不信感にもつながる。
感傷に浸れる人数は6人までという、非常に重要な指標を得ることができた。
複数人の場合の透明度を考える
先ほどは1人の場合に限った検証だったため、6人に増えた結果改めて透明度を調節してみることとする。
例えばここで一度、透明度を0%まで戻してみよう。
逆にこっちが詰められる様子になってしまった。
しかし、どこかで見た光景である。
そう、左上にロゴを足せば、あの大ヒット映画の世界観に早変わりだ。
本家よりもむさ苦しい仕上がりになってしまっているが、夕日の中で各メンバーのチェストアップがひしめきあうと、ALWAYS感を醸し出せることが判明した。
もし複数人で思い出に浮かぶことになった場合、逆に透明度0%で浮かぶ方がエモくなれるかもしれない。
次に他5人の透明度はそのままで、一人だけ透明度を0%に戻してみる。
キャラクターの選択画面になってしまった。
一部の思い出の人物だけ透明度が0%だと、戦闘開始前の画面でその思い出が選択されているように見えてしまう。
思い出に差をつけるのも望ましくないし、空の向こうに消えた仲間を再び召喚するノリも可哀想なので、避けた方がいいと思われる。
それでは特別な差をつけ過ぎず、半分ほどを0%にしてみるとどうなるか。
サスペンスドラマでまだ生き残ってる人たちみたいになってしまった。
複数話にまたがるときに、その事件で亡くなった人たちだけグレーアウトされている金田一などでお馴染みのアレになっている。
そもそも全員お空の向こうに行ってしまったというのに、その中でさらに遠くまで行ってしまった奴がいるという構造は中々に分かりにくい。
配置が窮屈であることが課題かと考え、スペースを十分に空けて思い出の人物たちを浮かべてみたが、
アニメのエンディングになってしまった。
登場人物が左に流れていくお馴染みのアレである。もはや感傷的な度合いはまったくなく、次回予告を待つ姿勢になってしまう。
思い出の笑顔にソーシャルディスタンスは必要ないという事実を導き出すことができた。
結論として、思い出の人物として空に浮かぶためには、
・透明度65%で
・6人以内で
・ギュッと密になり浮かび上がる
ことが重要なのである。
総括
いかがだっただろうか。
人はいつ、不測の事態があり自分の大切なひとの元を離れてしまうかはわからない。
そんな時、大切な人があなたのことを思って空を見上げたならば、良い感じに映れるよう準備しておこう。
そのために本記事が役立てば幸いである。
くれぐれも、透明度をあげ過ぎないように、ご注意を。
完