ある一つの歯を押すとすぐさま口が閉まりワニに噛まれてしまうゲーム『イタイワニー』を、誰もが一度は見たことがあるだろう。
このおもちゃは大変賢いカラクリで実装されている。毎回口を開いてゲームを開始するたびに外れの歯の位置がランダムに変わるのである。
幼少期、我々はこの猛り狂うワニに噛まれるスリルを楽しめていたはずだが、大人になるにつれ段々と遊ぶこともなくなった。
いくら対象年齢「3歳以上」とはいえ、30歳を満足させてはくれない。いつの間にかおもちゃは我々の手元を離れていく。
もしこれがもしおもちゃのワニではなく、実際の人間ならどうだろうか。
大人になった今、もはや動物の口腔内よりも人間のそれの方が一段と気持ちが悪いという事実は避けられない。
そんな人間の口を使ってイタイワニーをやれば、大人になった我々でもあのときと同じスリルが味わえるのではないだろうか。
ということで今回は、イタイワニーを人間の口でやると盛り上がるのかを検証する運びとなった。
デジタルに取り憑かれた現代人よ。今宵こそはスマホを置いて、久々に体だけを使って遊ぼうではないか。
アップグレードした大人の遊びを、その目に焼き付けよう。
検証開始
今回は次の人物に検証に参加していただく。
ごどう…幼少期に自宅にイタイワニーがあったイタイワニー上級者。口に手を入れられる行為自体は、相手によっては嫌いではないらしい。今回はワニーの部分を担う。
桐生…イタイワニーこそ未プレイであるものの、反則ギリギリの方法でワニワニパニックは高得点を叩き出せる。今回はイタイの部分を担う。
今回はこのごどうがイタイワニーとして、プレイヤーを鋭い歯で待ち受ける。
口腔内には永久歯が揃い踏み。乳歯を捨て去った、正真正銘大人の歯だ。
見た目もイタイワニーに近づけることにより、よりスリリングさを高めていく。
苔の生えた学校創立者の銅像ではなく、立派なワニの完成である。
それでは早速イタイワニーと同じポージングをしてもらおう。
対象年齢はかなり高めかもしれないが、大人用のイタイワニーと言われれば申し分ないだろう。
大きく開かれた口は、本家イタイワニーよりも数段上の危うさと不快さを発している。
ここまでセットして気づいたが、眼鏡がなんというか非常に良くない。ただ、もう後戻りはできない。
そしてプレイヤーである桐生には、しっかりと手指のアルコール除菌をすることを心がけてもらう。
あとは本人たちのメンタルの勝負だ。
それでは早速人間イタイワニーを始めていこう。
1ゲーム目
これ今までの企画で一番きついですわ。
そして今回押すと噛まれる「外れの歯」は、プレーヤーである桐生には見えない形でごどうに知らせる。
1ゲーム目はごどうの左下奥歯が外れ歯だ。桐生はそこをうまく避けられるかな?
ざけんなよマジでしばくぞお前。歯だけ、集中しろよ。
こうして1ゲーム目が終了した。
生産中止にした方がいいですよ。
泣きの2ゲーム目に向けて、手指を再度消毒する桐生。
2ゲーム目
人間イタイワニー2戦目、次の外れ歯は左上中歯だ。
果たして桐生は触らずにいけるのか!?
まあ、ワニの口に手を入れるってそういうことだもんな。
ガブッ
ジャーーッ
ゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
総括
いかがだっただろうか。
やや阿鼻叫喚の場面こそ多かったものの、実の人間でやるイタイワニーにも一定のスリルとゲーム性が見出せたのではないだろうか。
人々の娯楽がスマホやゲームに集約されていく昨今、昔のように物理的なおもちゃで遊ぶ人々の姿は減っていった。
今ここで改めて、昔の遊びに光を当てることの重要性をひしひしと感じる。
遠い昔に熱中した、おもちゃや遊戯の数々を思い浮かべて欲しい。もしかしたらそれは、人間を利用することで瞬く間に新しいゲームへと生まれ変わらないだろうか。
生温かい体温、粘液、唾液、嗚咽、激痛、激臭、苦悶…
古き良き遊びを現代でもしっかりと楽しめる。そんな大人で、イタイワニーだ。
完