準決勝のルールについて
さて、ここで映画版ジャイアントーナメント準決勝に進む前に、
準決勝のルールについて確認しておきたい。
トーナメントの一回戦はそれぞれのジャイアンの良い部分について比較をして勝者を選んでいたが、準決勝は少し異なる。
準決勝では減点方式で評価をしていこうと思う。
つまり準決勝に進んだジャイアンは、すごく良い奴であるということは当たり前だとして、
逆に悪い部分はなかったのかという点についてチェックしていきたい。
ワンシーンのジャイアンではなく、映画全体のジャイアンをチェックし、
悪い素行を見つけ、一回戦で点けた成績から減点していくというルールである。
準決勝第一試合
「のび太の南海大冒険」のジャイアンは、一回戦ではのび太を含む2人の人命救助、そして行方不明になったのび太の捜索などが高く評価された。
しかし映画序盤では、図書館にて夏休みの自由研究のテーマについて真面目に調べないのび太を殴るシーンがある。
これは減点対象である。
一方で「のび太の恐竜」のジャイアンは、一回戦では、反対するスネ夫を押し切ってのび太と恐竜ピー助のために厳しい選択をするシーンが印象的であった。
しかしこちらも映画序盤で、約束を守れなかったのび太に罰ゲームとして「鼻でスパゲッティを食べさせ」たりしている。
のび太が約束を守れなかったことは差っ引いても、力ずくでパスタに頭を突っ込ませる絵はかなりエグいものがあり、立派な減点対象だ。
以上のそれぞれの減点対象を比較してみると、やはり後者の方が圧倒的にきついのは明らかである。
また両者のジャイアンの良いポイントもほぼ互角であると判断し、今回は減点がより少ない「のび太の南海大冒険」のジャイアンの勝利とする。
よって「のび太の南海大冒険」のジャイアン、
決勝進出!
準決勝第二試合
映画の中盤から終盤まで、一人で敵に立ち向かったりのび太を救ったりと、良い奴ぶりを見せつける「のび太の宇宙小戦争」のジャイアン。
序盤でも、基本的にはスネ夫・出来杉と一緒にビデオ撮影に精を出す様子がほとんどで、減点すべき点は見つけづらいが、
敵の操作している巨大なラジコンに襲撃された際に、こんなラジコンを出せるのはドラえもんしかいないと勘違いし、のび太の家に行きのび太を殴るシーンが存在した。
残念ではあるが、勘違いとはいえこれは減点対象である。
一方で「のび太の大魔境」のジャイアンは、映画全般でのび太たちに暴力を振るうシーンは一切見られない。
さらに一回戦での評価のように、ジャイアンのわがままのせいで度々ドラえもん一向はピンチに巻き込まれるが、
ジャイアンはその責任を全て自分で負うのである。
この作品の特筆すべき点は、作中でのジャイアンの落ち度が、彼の漢気の見せ方や仲間との絆の再構築の流れの中で機能していることである。序盤の傍若無人ぶりも、彼の成長の一幕として受け入れやすい。
よって減点対象は見つからないため、
「のび太の大魔境」のジャイアンの勝利とする。
よって「のび太の大魔境」のジャイアン、
決勝進出!
決勝戦
決勝戦
さて、決勝戦の前に決勝戦のルールを確認しておきたい。
一回戦は各ジャイアンの良いところ、準決勝は逆にジャイアンの素行の悪さを抽出し、一回戦の評価から減点していく方式を取った。
そして今回の決勝戦のルールだが、一回戦と準決勝で各映画の中のジャイアンはほとんど洗い出してしまったので、
今回はそれぞれのジャイアンの映画中の全セリフを羅列し、
それぞれに「グッド◯」「ナチュラル△」「バッド×」を付け、
グッドの数からバッドの数を差し引いた合計得点が多い方を勝ちとする。
例えば「おい!のび太を探す道具なんかないのかよ」はグッドで、「お〜!!」はナチュラルで、「あいかわらずノロマだな」はバッドという具合に分類する。
ちなみに今回のこの対決、
『のび太の大魔境』はドラえもん作者の藤子・F・不二雄先生が脚本を手がけており、
『のび太の南海大冒険』の方は藤子・F・不二雄先生の没後に公開されたものなので、
アニメ脚本家の岸間信明氏が脚本を手がけている。
偶然にもここに、
藤子・F・不二雄先生 vs プロダクションという戦いが浮かび上がることとなった….
それでは、それぞれの映画のジャイアンのセリフをスプレッドシートでまとめ…
結果はこうなった…!!
「のび太の南海大冒険」
総セリフ数:106
グッド◯:20
バッド×:2
結果:18点
「のび太の大魔境」
総セリフ数:102
グッド◯:25
バッド×:3
結果:22点
ということで優勝は…
つまり大長編ドラえもん24作品の中で、一番「良い奴」である映画版ジャイアンは、
1982年公開の…
『ドラえもん のび太の大魔境』のジャイアンに決定!!
この漢気、
このかっこよさ、
もはや彼は「劇場版ジャイアン」ではない…
【銀幕ジャイアン】である。
完