2001年に結成されて以来、『Real Face』や『Keep the faith』などのヒット曲を生み出し、
飛ぶ鳥を落とす勢いで注目されてきたアイドルグループ「KAT-TUN」。
いわゆる「優等生」という従来のアイドル像とは真反対で、「不良、ヤンチャ」スタイルを地でいくグループであり、
デビュー当初はワイルドな見た目や坊主頭のメンバーもいるなど、他のジャニーズ勢とは一線を画す雰囲気の集団であった。
そんなKAT-TUNはかつて、現在のメンバーである亀梨和也、上田竜也、中丸雄一に加え、脱退した赤西仁、田中聖、田口淳之介も含めた6人で活動していた。(敬称略、以下同様)
KAT-TUNというグループ名も、6人の名前の頭文字で構成されていたことは有名だ。
K … 亀梨和也
A … 赤西仁
T … 田中聖
T … 田口淳之介
U … 上田竜也
N … 中丸雄一
しかしその「A」を担当する赤西がソロ活動に専念するために2010年に脱退すると、続けて2013年に「T」の田中が諸事情により、2016年には同じく「T」の田口が諸事情により脱退した。
こうして3人になったKAT-TUNだが、1年8か月の休止期間を経て活動を再開。
その際に、脱退した3人のローマ字が残る3人に背負わされており、中でも上田への負担が大きい。
(KAT-TUNのWikipediaより)
中丸も雄一(ゆういち)なのだからせめて「U」くらい持っていって欲しいところだが、そこはKAT-TUNの語順でないとダメらしい。
謎の「-」もまとめて背負わされて、上田だけ童子-Tみたいになっている。
彼も一時期はリーダーを担っていたという。そのような人物にポジションが押し付けられていくのは、さながら企業の組織情勢を見ているようだ。
とはいえ結果的に、残されたメンバーが偶然ローマ字を補填できたから問題なかった。これがもし、脱退する人物や順番が少しでも違っていたら、KAT-TUNはKAT-TUNを維持できていなかったかもしれない。
KAT-TUNは一体どのパターンでメンバーが脱退したら「KAT-TUN」という屋号を維持できなくなるのか。
我々が今いる世界線ではたまたま赤西、田中、田口の順に脱退しただけであって、逆に亀梨、上田、中丸が先に脱退してしまう世界線もあったかもしれない。
そこで今回は、どのメンバーがどの順に脱退したら、KAT-TUN が成立しなくなってしまうのかを調べる運びとなった。
主要メンバーが脱退してもKAT-TUNが存続できているこの世界線に、改めて感謝しようではないか。
調査方法
まずは初期のメンバーである6人がそれぞれランダムに脱退していく順番のパターンであるが、
亀梨 → 赤西 → 田中 → 田口 → 上田 → 中丸
赤西 → 亀梨 → 田中 → 田口 → 上田 → 中丸
田口 → 亀梨 → 赤西 → 田中 → 上田 → 中丸
…….
と全て羅列していくと 6の階乗分 だけパターンが存在することになるので、
6! = 6 × 5 × 4 × 3 × 2 × 1
合計で 720通り 存在することになる。
KAT-TUNには、720通りの脱退の仕方がある。
この時「KAT-TUN」というグループ名に使用される6つのローマ字が、残されたメンバーのフルネームの中から1文字でも補えなかった場合に、KAT-TUNは存続できないということになる。
亀梨和也 (KAMENASHI KAZUYA)
赤西仁 (AKANISHI JIN)
中丸雄一 (NAKAMARU YUICHI)
田中聖 (TANAKA KOKI)
田口淳之介 (TAGUCHI JUNNOSUKE)
上田竜也 (UEDA TATSUYA)
それではまずは亀梨が一番最初に脱退するというパターンに固定した状態で、残りの5人の脱退時の様子を見ていこう。
調査開始
はじめにKAT-TUNのメンバー脱退における、文字引き継ぎのルールを定める必要がある。
今までの脱退オペレーションから規則性を抽出すると、そのルールは以下のようにまとめられる。
・ローマ字はヘボン式の綴方を採用する。
・複数文字を担当する場合、担当文字は KAT-TUN の文字列の中で連続していなければならない。
NG例. 亀梨 KAMENASHI が KA と N を担う( KA と N の間が途切れている)
・上記により、「-」(ハイフン)は、一つ目の T または二つ目の T のどちらかの担当者が担う。
・複数文字を担当する場合、担当文字は自分の名前の綴り順序でなければならない。
NG例. 田中 TANAKA が AT を担う( T→A の順で担わなければならない)
このグランドルールに則ると、KAT-TUN各メンバーが担う可能性のある文字の候補は以下のようになる。
これらを踏まえて、調査を進行する。
まず亀梨(KAMENASHI)が一番最初に抜けたとすると、
「K」を名前に含むメンバーは赤西(AKANISHI)と田中(TANAKA)と田口(JUNNOSUKE)と中丸(NAKAMARU)の4人存在するので、この時点ではまだ「KAT-TUN」は崩れない。
担当例. KA(赤西)T(田中)-T(田口)U(上田)N(中丸)
では次に赤西(AKANISHI)が抜けたとしよう。「A」は母音で多くの人間の名前に存在するものであり、
当然後ろの4人(TANAKA、TAGUCHI、UEDA、NAKAMARU)で簡単に補填できるローマ字だ。
「A」の補充はなんら問題ではない。
担当例. KA(田中)T(田口)-TU(上田竜也)N(中丸)
そして田中(TANAKA)が抜ける。田口(TAGUCHI)、上田(TATSUYA)と「T」は豊富に揃っているので、ここでもまだ「KAT-TUN」は健在だ。
担当例. KA(中丸)T-TU(上田竜也)N(田口淳之介)
そして4番目の脱退メンバーとして田口(TAGUCHI)を持ってきたところで、KAT-TUNは破綻する。
そう、「UEDA TATSUYA」「NAKAMARU YUICHI」の二人で6文字は補えるのだが、「複数文字を担当する場合、担当文字は自分の名前の綴り順序でなければならない。」というレギュレーションに違反するのである。
これは仮に中丸・上田が脱退していたとしても同様であり、どうやら3名未満でのKAT-TUNの存続はかなり厳しそうだ。
そして、ここで我々はある一人のメンバーに着目する。
上田だ。
上田に関しては当該の6文字の中で「A、T、T、U」の4文字(UEDA TATSUYA)を握っているというポテンシャルが発覚した。先ほどの試行でも現時点でのKAT-TUNと同じく、「T-TU」というKAT-TUNの半分を担っている。
どうやらKAT-TUNの存続において、上田が最も重要なキーパーソンと言えそうだ。
思えば3人になった現在のKAT-TUNにおいて、『Real Face』でかつて田中が担当していたラップパートを受け持っているのが上田である。
ここにきて名前の頭文字のカバーする範囲の広さにより、上田のマルチな才能に改めて気づかされる。
つまりこの時点で、上田が早めに脱退することが「KAT-TUN」崩壊の危機に一気に近づくということがわかったので、次は上田を先頭に固定して考えてみよう。
上田竜也が最初に脱退した世界線
それはあまりにも一瞬だった。
上田竜也が最初に抜ける場合、先ほど説明した「Tの希少性」のため、次に田中か田口が脱退した場合「KAT-TUN」は成立しなくなる。
逆に上田を失うと、必然的にT2つ分の補給要員として、田口・田中の諸事情は認められなくなる。
つまり順番はどうであれ、上田が最初に抜けてその後に田中もしくは田口が抜けた場合はその時点でアウトなのだ。
KAT-TUNは最短2ターンで存続不可能になることが明らかになった。
初期の6人において、他のメンバーのキャラの濃さ故にファンでなければ彼のことを詳しく知らないことも多かったが、ここにきて上田の存在が光る結果となった。
KAT-TUN試行の一般化
まず前提として、KAT-TUNメンバーは1人目の脱退では崩壊しない。
先述の通り、最短2人目の脱退で崩壊を迎える。同じく3人目で迎える可能性もあり、4人目には必ず崩壊する。これは各自が担当できる文字列の中からどの2つを選んでも、KAT-TUN全体を構成し得ないからである。
また、先述の試行により上田の重要性は明確になった。
特に伝家の宝刀「T-TU」を発動したとき、残りの構成要素 KA を他4人が、N を他5人が担当できるため、上田以外の2人は誰であってもKAT-TUNが成立するのである。
上田が残っているとき、他の2人は誰であってもKAT-TUNは成立する。
これをUの原則と呼ぶ。
さらに先ほど、田口か田中の一方でも上田とともに脱退したときKAT-TUNは崩壊する事実を示した。
それでは、上田が抜けてもKAT-TUNが存続するレアケース「田口と田中が両方メンバーに残っている」場合を考えてみる。
結果は表の通り、田口と田中で T-TUN を構成できてしまうため、残りの KA は他3名の誰でも補えるのだ。
上田は抜けたが田口と田中が両方残っているとき、他の1人は誰であってもKAT-TUNは成立する。
この論理を本来の構成に則って、T-T論理と呼ぶ。
つまり「田口と田中が両方メンバーに残っている」場合、T-T論理により他どんな2名の脱退でも KAT-TUN が崩壊することはない。
すなわち KAT-TUN が成立するか否かは、3人以下の脱退において、分岐で捕捉することができる。
結論として、KAT-TUNがカバーしきれなくなる脱退ルートは、
4人以上の脱退もしくは、2~3人の脱退の際に以下の組み合わせで脱退していることである。
総括
いかがだっただろうか。
少しでも歯車が違えば成り立たなかったKAT-TUNという存在の奇跡性。そして上田の貢献度に感嘆する結果であった。
最短では2件の留学、または2件の不祥事で存続できていなかったかもしれないKAT-TUN。
彼らはやはり、ギリギリでいつも生きているのだ。
完