トレーディングカードゲーム『遊☆戯☆王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ』(以下、遊戯王OCG)をご存知の方は多いだろう。
そのシリーズに「封印されしエクゾディア」という強力なカードが存在する。
遊戯王OCGでは、基本的にライフポイント(4000〜8000)が0になるか、デッキが0枚になった対戦者が敗者となる。しかしこれ以外にも「特殊勝利」というカード特有の条件による勝利も存在する。
エクゾディアの効果はその「特殊勝利」へと導く代表的なものであり、上記の画像のカード5枚が手札に揃った時点で勝利となるのだ。
しかしその強力な効果ゆえに、エクゾディアの各部位(胴体、右腕、左腕、右足、左足)のカードはデッキに一枚ずつしか入れることができない。
手札に各パーツを揃えるための戦略が重要になるが、逆に各パーツが墓地へいったり除外されてしまった場合のケアについても気を配る必要がある。
つまるところ、この5枚のカードを手札に揃えるには、それなりの労力を要するのである。
もしもエクゾディアの各パーツを他のカードで代替できたらどうだろう。
現在は1万種を超えている遊戯王OCGにおいて、エクゾディアの各部位によく似たカードの1枚や2枚は探せばあるはずだ。
一部のパーツをそのカードに差し替えたエクゾディアを一瞬だけ出して、サラッと勝利宣言をし、すぐにカードを片付ければ、エクゾディアが揃った空気感を貫ぬき通せるのではないか。
ということで今回は、「封印されしエクゾディア」本体と各四肢を他のカードで代替し、エクゾディアが揃ったと言い通せる可能性を調査することとなった。
相手のライフポイントを削るファイトスタイルがメインである現在の遊戯王界に、戦わずして勝負に勝つという美学を復活させようではないか。
調査開始
まずはエクゾディアの各パーツの代わりになりそうなカードを、およそ1万枚を超える全カード一覧から探していくのだが、
今回は次の2つの基準を元に、代替カードを選定していくことにする。
① 遠近感が同じかどうか
例えば、胴体である「封印されしエクゾディア」の代替案として、ほぼ同じ見た目の「召喚神 エクゾディア」というカードが存在する。
(あらっ、これ1枚でいいじゃない!お得!とお思いだろうが、どうやらそういうカードではないらしい。)
これに関しては、本家のエクゾディアよりも若干後ろの位置に構えており、代替できるかは疑問が残る。
エクゾディアをエクゾディアたらしめる紅白模様の横髪も、これだけ遠い位置だとパッと見では気づけない。
というわけで、前後の間隔で見た時に、本家と同じ位置にいるかどうかをチェックする。
② 角度・長さが同じかどうか
例えば次の「血の代償」を見ていただきたい。
左手が描かれたカードなので、「封印されし左腕」の代替になりそうな気もするが、惜しいことに本家と角度が違っている。
対戦相手の目を騙すためは「腕」であること以上に、本家と同じ角度・長さになっている事実の方が大切なのだ。
その点で言えば、次の「救出劇」は角度に関しては合格だが、
いかんせん露出部分が少ないので評価は低い。そもそもこれから勝負を終わらせるというエクゾディアが、左手で小娘を助けているという状況も意味がわからない。
角度・そして四肢の長さは重要な指標である。
以上2点に注意しながらカード選定を進めていく。
こういう時に、各パーツ代替カードをフォルダ分けしていくと後で便利だ。
こうして遊戯王の全カードをチェックし終え、各パーツの代替が出揃った。
それではこの調査結果を、代替率が低い順に7つご紹介しよう。
本家エクゾディアの各パーツの主張具合について、胴体は30%、各四肢は17.5%程度を担っていると考えられる。
両手だけ差し替えるパターンは代替率35%、両手両足を差し替えれば、代替率70%ということだ。
必然的に、代替率が高くなるにつれバレる危険性の高い、チャレンジングな差し替えとなる。
まずは一番低い「代替率17.5%」から見ていこう。
①代替率 17.5%
エクゾディアが揃ってきたけど、右腕だけない!そんな経験はないだろうか?
そんな時はこれだ!
「封印されし右腕」を「なぞの手」で代替。
①遠近感、②角度・長さにおいてどちらも合格点。少し視力の悪そうなインセクター羽蛾あたりを騙すには十分だろう。
攻撃力・守備力共に500の通常カードで、エクゾディアの右腕を代替する以外のシーンで活躍する姿が想像しづらいが、それでも胸を張れる立派な役割である。
もちろん制限はかかっていないのでデッキに3枚入れることが可能である。それだけで3枚分、エクゾディア完成に近づく。
フィールドに出す際はこのように、なるべく各パーツをくっつけて見せよう。相手に揃ったということをアピールできさえすればOKだ。
そしてエクゾディアの一部を代替して相手に勝利を宣言するときは、
なるべく早く撤収して欲しい。
ファーストコンタクトで相手をごまかせたら長時間フィールド上にエクゾディアを残す必要はない。
勝利の歓喜に湧いた後は、すぐにフィールド上を綺麗にしよう。
②代替率 30%
エクゾディアが揃ってきたけど、肝心の胴体だけない!そんな経験はないだろうか?
そんな時はこれだ!
「封印されしエクゾディア」を「雷魔神 – サンガ」で代替。
こちらも遠近感の部分で非常に精度が高い。立ち位置は本家エクゾディアと全く同じである。
各四肢との結合も清々しいくらい違和感がない。「君、エクゾディアに似てるって言われない?」そんな言葉を彼自身も幾度と受けてきたのではないだろうか。
そして今回も早く巻こう。
代替率が上がることはすなわちバレやすくもなっている。せっかくの代替を無駄にしないために早く帰ろう。
③代替率 35%
エクゾディアが揃い始めたけど、両足だけない!そんな経験はないだろうか?
そんな時はこれだ!
「封印されし右足・左足」を、
「先史遺産トゥスパ・ロケット」・「無頼特急バトレイン」で代替。
①遠近感と②角度・長さにさえ気を付ければ、両足がロケットと電車になってもいいわけだ。
遠目で見るとかっこいいスニーカーを履いてるみたいで、中々洒落たエクゾディアになっていて良いものだ。
派手に喜ぶことで相手をその気にさせよう。
代替率が上がってきているため、相手の物言いが入る隙を作らないくらい勝利のアピールをしよう。
そして喜び終わったら、すぐにフィールドを掃除して別の話をし始めよう。
恋バナなどもオススメだ。好きなあの娘の話をするときに、エクゾディアが頭によぎることなんてないだろうから。
④代替率 70%
エクゾディアが胴体しかない!そんな経験はないだろうか?
そんな時はこれだ!
「胴体」のみ本家で、四肢を代替
今までの代替カードに加え、左腕に「先史遺産ゴールデン・シャトル」を装着。
4パーツを代替しているのに、ぱっと見エクゾディアと見間違うのは、遠近感や角度を考慮したことの妙だろう。なんなら本家のエクゾディアより強そうだ。
この4枚のカードは全てデッキに3枚ずつ入れられるので、デュエル開始時の最初の5枚で揃うことだって夢ではない。
しかしその分、バレるリスクも格段に上がっているため、
ガッツポーズもほどほどに、撤収だ。
代替率70%以降の領域に入ると、勝利宣言→ガッツポーズ→撤収までをいかに無駄なくできるかが鍵だ。
勝利の雄叫びなどを出して自分に注意を集めたり、そのまま家に帰ってしまってもいいだろう。
5. 代替率 100%
エクゾディアが一つもない!そんな経験はないだろうか?
そんな時はこれだ!
胴体・四肢全てを代替。
待ってたぜ、代替オールスターズ。
ここまでくると、逆に調和が取れているのでバレにくいかもしれない。後はいかに自信満々に勝利宣言をするかどうか、最後は当人のメンタルだけが頼りだ。
撤収も派手にいこう。
代替率100%の世界において、一番大切なのは勢いだ。フィールドを一瞬で片付けたらすかさず全裸になり、敗北した相手をビンタしながら爆竹を鳴らしてみよう。
エクゾディアがどんな様子だったか、そのときには完全に頭から抜けているはずだ。
それではここからは同じような代替率100%で他の例も紹介していこう。
6. 代替率 100%
こちらも胴体・四肢を全て他のカードで代替しているエクゾディアだ。
【代替カード】
胴体:エクゾディアとの契約
右腕:トゲトゲ神の殺虫剤
左腕:アンティ勝負
右足:突進
左足:神剣 – フェニックスブレード
今回は緑の魔法カードで取り揃えてみた。デュエルの際には部屋を暗くしておくことを推奨する。
「エクゾディアの契約」はいい感じにエクゾディアが写っているので、胴体の代替として積極的に使っていこう。
両手がふさがっているエクゾディアというのもまた趣がある。
「封印されし」と言いつつまるで封印されてない様子が、普段のエクゾディアよりもアグレッシブな印象を与える。
右足は「突進」である。
①遠近感、②角度・長さに気を配りさえすれば、右足はイノシシだって構わない。
遠目で見ると、ちょうど筋肉質な太ももぐらいには見えてくる。デュエルの最中、相手には基本的に遠目で見てもらうよう協力してもらうのも一つの手だ。
7. 代替率 100%
こちらは「エクゾディアの契約」に頼らない、さらにチャレンジングな代替パターンである。
【代替カード】
胴体:ハリケーン
右腕:魔術師の右手
左腕:馬の骨の対価
右足:ビッグバン・シュート
左足:地砕き
右手に関しては、もうすでに何かエクゾディアビーム的なものを出そうとしている。
勝負を終わらせる気概を十分に感じさせる仕上がりだ。
右足は「ビッグバン・シュート」である。見た目もさることながら、ちゃんと結果的に「右足」で右足を代替しきっているところが素晴らしい。
左足の代替は「地砕き」でどう見ても腕だが、遠目で見るとしっかりと地に足をつけているように見受けられて好印象だ。
惜しい例
一枚だけカードの属性が違うというやってはいけない例である。
いくら見た目がエクゾディアに近くとも、流石に5枚のうち1枚が違う属性カードだったら相手をごまかすことはできない。
5枚のカードの属性が揃っていることが、エクゾディアのパーツ代替においては大前提である。
それでも代替できるカードがない場合
「右足」を自分の指で代替する最終手段がある。
エクゾディアの足りないパーツが、四肢のいずれかだった時に使えるワイルドカードである。
ポイントは勝利宣言をした後も、しばらくは指を置いておくこと。
そのまま逆の手でガッツポーズして撤収だ。
総括
いかがだっただろうか。
遊戯王カードを嗜んだ者ならば、あの頃誰もが憧れたエクゾディアの召喚。
大人になった今、我々は溢れるバトルスピリッツの代わりに知恵を得た。子供の頃の憧れを、知恵を使って掴むことができるのだ。
もし今、遊戯王カードに白熱していたあの頃にタイムスリップできるなら、少年少女だった我々にこう囁いてあげよう。
叶えられない夢なんてないんだよ、と。
ただし、こうも言ってあげよう。
遊戯王カードは、ルールを守って友達と楽しく遊ぶんだぞ。
とね。
完