カラオケを歌い始める第一声のその瞬間には、独特の緊張感がある。
前奏の最中には何でもないように喋っているが、その裏腹に頭では、歌い始めをしっかり捉えられるかどうかを真剣に考えている。
あの一瞬の必死な形相。それまで普通にしていた会話が急に小走りになるあの瞬間を、誰もが目にしたことがあるだろう。
前奏とは、歌い手にとって非常に大切な時間なのだ。
大人気ロックバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの『Re:Re:』という曲をご存知だろうか。
2004年に発売されたアルバム『ソルファ』に収録された曲で、アニメ『僕だけがいない街』の主題歌にも起用されている。
その際に再レコーディングされた同曲は、ライブアレンジをフィーチャーしており、カラオケでも1分30秒という非常に長いイントロが存在する。
歌い手にとって重要な前奏時間が、たっぷりと用意されているのだ。
もしも前奏の時間が『Re:Re:』くらい与えられたとき、人は何ができるのだろう。
それだけの時間があれば、精神統一や集中のほかにも何かちょっとしたことができるかもしれない。カラオケでついつい焦ってしまう人に、自分のペースを取り戻すための提案ができるのだ。
そこで今回はアジカンの『Re:Re:』の曲の最初から歌詞が始まるまでの時間に、一体我々に何ができるのか、調査する運びとなった。
調査開始
今回は都内某所のカラオケ店にて調査をおこなう。