二人で一つの羽織を纏い、顔だけ出た前方の人間と、腕だけ出て視界を遮られた後方の人間の拙い連携を楽しむ二人羽織は、宴会などで楽しまれる芸の一つである。
大抵二人羽織で行われるのは、後ろの人間が前の人間に何かを食べさせるという芸が多い。
前の人間からの口頭による指示はあるものの、視覚を失っているため当然料理は口にスムーズに運ばれない。
そしてこの料理が熱々おでんのような、操作を間違うと前方の人間が悲惨な目に遭うものであれば、二人羽織芸は盛り上がりを増すのである。
当然そのような緊張感の中では、たとえ口におでんがスムーズに運ばれたとしても、それを味わって食す余裕はないだろう。
もしも二人羽織で使用する熱々おでんの具が、
高級食材で構成されていたらどうだろう。
視覚を失った自分以外の誰かに食べさせられる緊張感、そして高温灼熱という条件下で、食べ手におでんの高級さに気付く余裕は残っているのだろうか。
ということで今回は、二人羽織で食べる熱々おでんの具が最高級食材だったら気づけるのかという検証を行う運びとなった。
二人羽織の極限状態でもヒトは食を求道できるのか、人間の新しい可能性にチャレンジしたい。
検証方法
今回の検証には次の人物が参加する。
ごどう…当サイトの企画スタッフ。今回は二人羽織の前方を担い、おでんの高級さに気付けるかどうかを試される。
カズマ…当サイトの管理人。今回は二人羽織の後方役を担う。企画の内容は事前に知っており、ごどうの口にスムーズにおでんを運ぶことに集中する。
ごどうにいち早くクリアしてもらい、おっさんをバックハグする構図から早急に脱出することをミッションとする。
ぴろぴろ…当サイトの管理人。高級おでんを手配。二人羽織を48手の一つだと思っていた。
今回二人羽織で前方役を務めるごどうには、「ニニンがシノブ伝を読んでいれば二人羽織も上手くできるのか」という偽企画に挑戦してもらう。
ごどうには前もってニニンがシノブ伝を全巻読破してきてもらい、二人羽織で熱々おでんを実施。
本当の検証内容を知っている後方役のカズマから運ばれてくるおでんの美味しさに言及した時点で検証は終了。
二人羽織でも確かに食事が楽しめることを、ごどうにはぜひ証明してほしい。
ちなみに今回使用するおでんがこちらだ。
都内某所の高級おでん屋さんでテイクアウトしたおでんである。大根、はんぺん、卵などが入った盛り合わせで、価格は3000円ほどになる。
コンビニのおでんとは段違いのクオリティになるはずだが、結果はいかに。
検証開始
そして二人羽織に効くイメージは一切見えないな。
二人羽織開始前に電子レンジでおでんを激アツに。
熱々なのはおでんだけではなく、羽織の中も同様というわけだ。
熱気と息苦しさと、男性二人の加齢臭に包まれ、カズマの体力ゲージは状態異常にかかったかのように減り続ける。
二人羽織熱々おでんスタート
1品目:鶏つみれ
まずごどうが選んだ具はつみれだ。一般的なコンビニで販売されているつみれが3つで98円なのに対し、こちらのつみれは3つで298円とお高い。
鶏の旨味とコクを深く感じられる上品な一品だそうだ。
ボチャッ
じゃあもう一回今のつみれいくぞ。その位置のまま箸を下に。
気色わりィ!!
マジでキショいなこの感覚!
何とか飲み込めましたぁ〜〜….
1品目、熱々の高級つみれを食したごどうがその味に言及することはなかった。次にごどうが指定したのは餅しのだであるが、果たして。
※しのだ…油揚げ
2品目:餅しのだ
柔らかく仕上げた餅を上質な油で揚げた油揚げで包んだこだわりの一品。
似た具である餅巾着が一般的なコンビニで120円で売られているのに対し、こちらの餅しのだは450円と、お高い。
グニュ〜〜〜〜
その場に留まるな!!動け!!
小休止
ただまだ2品ですし、慣れていない緊張感もあるのでここからですよ。
あの暑い羽織の中で男と密着して、俺が先にやられてしまう。
ここまでつみれと餅しのだを食しているごどうだが、未だその味に関する言及はなし。
想定以上の過酷さに早くも根をあげている後方役のカズマだが、果たしてこの後、ごどうの舌は奇跡を起こすのか。